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日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 18

線路は続く9 JR各社比較

JR7社は旧国鉄を批判的にとらえかつ各問題の発展的解消を目的に設立された。

国鉄の問題点として以下のような指摘があった。

  • 40数万人という職員はー組織では管理できない
  • 合理化抵抗勢力としての労働組合を分割弱体化する
  • 民間企業として官製のしがらみをとる
  • 相互に競争させ経営効率化とサービス向上を目指す

 

そして旧国鉄は分割され7社体制となった。その7社体制を考える。

  • 総社員は129000人程度(決算資料)JR東日本社員数57580人
  • 組合は協調路線(JR連合7万9千人 JR総連7万人 発表数字)
  • 生産性の向上は顕著
  • 近年は歴史を重ねることで各社個別組織体としての独自路線も強くなり始めた

 

JR7社に分割された線路は、それぞれが協調し旧国鉄としての全国一体サービスも維持するとされた。

 しかし旧国鉄とJR7社体制を考える時、例えば京都から北海道知床へ行くような長距離の移動と、京都大阪間のような近距離交通を考えることはまったく概念が異なることになる。

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2016年のJR各社路線図 国土数値情報をもとにBlog主加工

 

JR各社間の移動

新しい資料を基にJR各社間の移動を見てみる。
国交省都道府県別旅客移動の一覧があるので、これを加工しJR各社間の移動として集計した。

2015年のJR間の移動をまとめてみた。発表された数字は急行か特急での移動なので実際は近隣他府県への移動等の普通列車の人数を加えるともう少し多くなる。
JR各社のエリアとした都道府県は以下

JR北海道北海道
JR東日本青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・新潟・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・長野
JR東海静岡・愛知・岐阜・三重
JR西日本富山・石川・福井・滋賀・京都・鳥取・島根・奈良・大阪・和歌山・兵庫・岡山・広島・山口
JR四国徳島・香川・愛媛・高知
JR九州福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島

 

2015年JR(都道府県換算)間の移動(特急・急行)
            単位千人
  JR
北海道
JR
東日本
JR
東海
JR
西日本
JR
四国
JR
九州
JR
北海道
7009.32          
JR
東日本
2040.69 79438.85        
JR
東海
252.51 44007.13 12867.20      
JR
西日本
625.89 73779.35 1748.58 33046.10    
JR
四国
6.69 1717.18 656.12 5436.54 2451.63  
JR
九州
84.39 4103.57 2922.77 14332.46 612.33 21221.43

各社のカラーをつけたJR自社管内移動数を集計すると1億5603万4千人、これは総移動乗客3億836万人の半数50.%となる。特急急行の乗客でいえばJR自社管内ではなく各社間の移動が半数になるということだ。

次は各JR管内の構成比で各JRからどの地域に移動しているかを見る。

  JR
北海道
JR
東日本
JR
東海
JR
西日本
JR
四国
JR
九州
JR
北海道
70.0% 1.0% 0.4% 0.5% 0.1% 0.2%
JR
東日本
20.4% 38.7% 70.5% 57.2% 15.8% 9.5%
JR
東海
2.5% 21.5% 20.6% 1.4% 6.0% 6.8%
JR
西日本
6.2% 36.0% 2.8% 25.6% 50.0% 33.1%
JR
四国
0.1% 0.8% 1.1% 4.2% 22.5% 1.4%
JR
九州
0.8% 2.0% 4.7% 11.1% 5.6% 49.0%
  100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

JR北海道では自社管内とJR東日本間での移動が多い。

JR東日本では自社管内と同じ程度JR西日本間での移動が多い。

JR東海では圧倒的にJR東日本管内への移動が多い。JR東海はエリアも狭く自社管内での特急利用数がそう多くないこともあるのかもしれない。

JR西日本では自社管内移動の倍以上がJR東日本への移動だ。
しかし注意しなければいけないのは、新大阪駅から東京駅への新幹線利用は集計上ではJR西日本にしているが実際はJR東海の利用になること。

JR四国は路線数の関係だろうが自社管内よりもJR西日本管内への移動が多い。

またJR九州は自社管内に次いでJR西日本が多い。

この両地域でJR東日本管内への移動は飛行機の利用になることなのかもしれない。

次に路線維持という面から路線km当たりの人口を特に島嶼という観点からJR北海道、JR四国、JR九州三社を比較した。

3島JR路線距離と人口
  路線km 人口 km当人口 対九州比 面積
JR北海道 2283.2 5381733 2357 40.9% 8,345,000ha
JR四国 855.2 3912670 4575 79.3% 1,880,000ha
JR九州 2273.0 13108027 5767 100% 3,675,000ha

JR北海道JR九州と比較し、km当たりの人口で4割となった。当然乗客数は異なる。というか面積の膨大さも兼ね合わせて見ると、はるか遠くの駅まで車で向い列車に乗るということになる。

次に総移動乗客の中で移動エリア別のシェアを見る。

  JR
北海道
JR
東日本
JR
東海
JR
西日本
JR
四国
JR
九州
JR
北海道
2.3%          
JR
東日本
0.7% 25.8%        
JR
東海
0.1% 14.3% 4.2%      
JR
西日本
0.2% 23.9% 0.6% 10.7%    
JR
四国
0.0% 0.6% 0.2% 1.8% 0.8%  
JR
九州
0.0% 1.3% 0.9% 4.6% 0.2% 6.9%

シェアの上位はJR東日本管内とJR東日本JR東海JR西日本の間、JR西日本管内、JR九州管内の順だ。圧倒的に東海道沿線が多い。
運賃収入を考えれば、これに優等列車以外の列車移動乗客数が加わる。

ここでJR北海道JR東海を考えてみる。

上記にあげるように日本全国の移動でも東海道線沿線の移動が圧倒的に多いという事実がある。
 そして旧国鉄を分割するときに恣意的に東海道新幹線を一体として残す必要からJR東海は少数の在来線とともに組織された。
一方JR北海道は旅客6社の中で最もkm当たりの周辺人口が少ない。つまり周辺人口による需要が少ないということになる。
 以下はJR東海JR北海道の2016年決算からひろった数字である。

2017年3月JR東海JR北海道決算数字
2017 JR東海 JR北海道
  総合 内新幹線 総合 内新幹線
営業収入 1兆7569億円      
営業キロ 1970.8km 552.6km 2283.2km 148.8km
鉄道収入 1兆3719億円 1兆2119億円 797億円 116億円
km当 6億9600万円 21億9300万円 3500万円 7800万円
総営業費 1兆1374億円      
鉄営業費 7849億円 未公開  1323億円 144億円
km当 3億9800万   5800万円 9700万円
鉄営業利益 5870億円 未公開  -526億円 -28億8200万円
km当 2億9800万円   -2300万円 -1900万円

資料:JR東海 JR東海ファクトシート2017

   JR北海道 JR北海道>>企業情報>>経営情報

JR東海では新幹線による鉄道収入は1km当たり21億円!である。
一方JR北海道北海道新幹線は全線148.8kmで鉄道収入が116億円。
    つまりJR東海東海道新幹線京都駅を出た「のぞみ」が加速ギアを入れ数十秒で東山トンネルに差し掛かるそして東山トンネルを抜けた付近からJR東海道線の山科駅が近い。JR東海ではこの距離京都-山科間(約5.5km)だけでJR北海道北海道新幹線全線の鉄道収入を稼いでいる。
なによりもJR東海の鉄道収入1兆3719億円に比してJR北海道の鉄道運賃収入は797億円、5.%となる。
にどうしてこのようないびつな企業体になったのだろうか?

 

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