青春18きっぷ誕生
青春18きっぷは、増収のための設備投資がいらない
新線や新駅も必要なく、列車の増発や車両の新製も不要。
普通列車限定で、学生の長期休み期間に有効とすれば、ガラ空きの期間中に列車にお客さんが来てくれる。
現場の手間もかからないので、組合だって反対する理由はない。
学生定期代の減収さえ補えたら御の字。
それどころか、コストは多少の宣伝費ときっぷを印刷する紙代だけで、トレーディングカード並にボロもうけできるきっぷである。
などの理由で発売された。
青春18きっぷは国鉄時代にこんな理由から販売開始され以後順調に売り上げを伸ばしていたが、いわゆる整備新幹線により在来並行線が第三セクターとして分離かつ寸断された経緯から一時販売数が減少した。
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1997年に長野新幹線が開業すると、横川-軽井沢間の信越本線が廃止され、軽井沢-篠ノ井間がしなの鉄道に移管された。
その後2002年には東北新幹線八戸開業により、東北本線盛岡-八戸間も第三セクターに移管。
信越本線や東北本線といった幹線の一部で青春18きっぷが使えなくなったため、JR東日本エリアで青春18きっぷの利用者離れが起きた可能性があった。
しかし整備新幹線による並行在来線の分離は続き、それに伴って通過特例が設定された。
青い森鉄道や、道南いさりび鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、そして今回の北陸新幹線延伸でハピラインふくいにも通過特例ができた。
ルールは複雑化しそれによって青春18きっぷが使いにくくなってきた。
現状のルールは以下で解説
2024年改訂 青春18きっぷが使える路線・使えない路線 - 紙つぶて 細く永く
上図の各色は、使用可能の路線、通過可能の路線、使用不可の路線
そんな中JRはてこ入れとして2007年春に、JR発足20周年を記念して、春季分を8000円で販売
2006年度には、初めてJR全社で年間売上100万枚を突破した。
(また専門家には以下ような意見もある)
青春18きっぷで乗車できない線路
現在のJR以外で、旧国鉄あるいは国鉄と線路がつながっていた第三セクターを一覧にすると以下になる。
背景を緑色にした路線以外は使用不可の路線
青春18きっぷと地方交通線 | |||||
路線 | 旧路線名 | 会社 | 使用状況 | 延長km | |
道南いさりび鉄道線 | 江差線 | 道南いさりび鉄道 | 通過可能 | 37.8 | |
海峡線 | ー | JR北海道 | 別途購入で可能 | 注3 | |
青い森鉄道線 | 東北本線 | 青い森鉄道 | 一部通過可能 | 121.9 | |
いわて銀河鉄道線 | 東北本線 | IGRいわて銀河鉄道 | 使用不可 | 82.0 | |
鳥海山ろく線 | 矢島線 | 由利高原鉄道 | 使用不可 | 23.0 | |
阿武隈急行線 | 丸森線 | 阿武隈急行 | 使用不可 | 54.9 | |
秋田内陸線 | 阿仁合・角館線 | 秋田内陸縦貫鉄道 | 使用不可 | 94.2 | |
フラワー長井線 | 長井線 | 山形鉄道 | 使用不可 | 30.5 | |
リアス線 | ー | 三陸鉄道 | 使用不可 | 163.0 | |
仙台空港線 | ー | 仙台空港鉄道 | 使用不可 | 7.1 | |
会津線 | 会津線 | 会津鉄道 | 使用不可 | 57.4 | |
いすみ線 | 木原線 | いすみ鉄道 | 使用不可 | 26.8 | |
わたらせ渓谷線 | 足尾線 | わたらせ渓谷鐵道 | 使用不可 | 44.1 | |
真岡線 | 真岡線 | 真岡鐵道 | 使用不可 | 41.9 | |
七尾線 | 七尾線 | のと鉄道 | 使用不可 | 33.1 | 注1 |
北しなの線 | 信越本線 | しなの鉄道 | 使用不可 | 37.3 | |
しなの鉄道線 | 信越本線 | しなの鉄道 | 使用不可 | 65.1 | |
ほくほく線 | 北越北線 | 北越急行 | 使用不可 | 59.5 | |
妙高はねうまライン | 信越本線 | えちごトキめき鉄道 | 使用不可 | 37.7 | |
日本海ひすいライン | 信越本線 | えちごトキめき鉄道 | 使用不可 | 59.3 | |
あいの風とやま 鉄道線 |
北陸本線 | あいの風とやま鉄道 | 一部通過可能 | 100.1 | |
IRいしかわ鉄道線 | 北陸本線 | IRいしかわ鉄道 | 一部通過可能 | 64.2 | |
ハピラインふくい線 | 北陸本線 | ハピラインふくい | 一部通過可能 | 84.3 | |
越美南線 | 越美線 | 長良川鉄道 | 使用不可 | 72.1 | |
天竜浜名湖線 | 二股線 | 天竜浜名湖鉄道 | 使用不可 | 67.7 | |
明知線 | 明知線 | 明知鉄道 | 使用不可 | 25.1 | |
愛知環状鉄道線 | 岡多線 | 愛知環状鉄道 | 使用不可 | 注3 | |
樽見線 | 樽見線 | 樽見鉄道 | 使用不可 | 34.5 | |
伊勢線 | 伊勢線 | 伊勢鉄道 | 使用不可 | 22.3 | |
信楽線 | 信楽線 | 信楽高原鐵道 | 使用不可 | 14.7 | |
嵯峨野観光線 | 山陰本線 | 嵯峨野観光鉄道 | 使用不可 | 注3 | |
宮福線 | 宮福線 | WILLER TRAINS | 使用不可 | 30.4 | |
宮津線 | 宮津線 | WILLER TRAINS | 使用不可 | 83.6 | |
北条線 | 北条線 | 北条鉄道 | 使用不可 | 13.7 | |
智頭線 | 智頭線 | 智頭急行 | 使用不可 | 56.1 | |
若桜線 | 若桜線 | 若桜鉄道 | 使用不可 | 19.2 | |
井原線 | 井原線 | 井原鉄道 | 使用不可 | 41.7 | 注2 |
錦川清流線 | 岩日線 | 錦川鉄道 | 使用不可 | 32.7 | |
阿佐東線 | 阿佐東線 | 阿佐海岸鉄道 | 使用不可 | 10.0 | |
阿佐線 | 阿佐線 | 土佐くろしお鉄道 | 使用不可 | 42.7 | |
中村線 | 中村線 | 土佐くろしお鉄道 | 使用不可 | 43.0 | |
門司港レトロ観光線 | 門司港レトロ 観光線 |
平成筑豊鉄道 | 使用不可 | 注3 | |
博多南線 | 博多南線 | JR西日本 | 使用不可 | ||
1号線(空港線) | 1号線(空港線) | 福岡市 | 使用不可 | ||
田川線 | 田川線 | 平成筑豊鉄道 | 使用不可 | 26.3 | |
伊田線 | 伊田線 | 平成筑豊鉄道 | 使用不可 | 16.1 | |
糸田線 | 糸田線 | 平成筑豊鉄道 | 使用不可 | 6.8 | |
西九州線 | 松浦線 | 松浦鉄道 | 使用不可 | 93.8 | |
甘木線 | 甘木線 | 甘木鉄道 | 使用不可 | 13.7 | |
高森線 | 高森線 | 南阿蘇鉄道 | 使用不可 | 17.7 | |
湯前線 | 湯前線 | くま川鉄道 | 使用不可 | 24.8 | |
肥薩おれんじ鉄道線 | 鹿児島本線 | 肥薩おれんじ鉄道 | 使用不可 | 116.9 |
注1 七尾駅-和倉温泉駅間のと鉄道の列車も乗車可能
注2 総社駅-清音駅間井原鉄道車両は乗車不可・JR車両は使用可
注3 これら6路線以外で検討
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地方交通線としての第三セクター
地図でもわかるように上記表にあげた第三セクターは主に地方の交通を担っている。
主要客は新幹線に流れ厳しい経営環境にある。
その中でも「旧路線名」に・・本線となっている線区は比較的乗客数に恵まれている。
これらの多くはは国鉄はもとよりJRとも関連の深い路線であるが、青春18きっぷが使えない路線となっている。
しかし鉄道ファンにはかえって思い入れの深い路線でもある。
鉄道ファンに聞くとこのような路線を含めて往年の青春18きっぷのように使えるなら多少の金額アップがあったとしても乗車するようだ。
そこでこのエリアを広げ、そして地方交通線にも活力をという企画 題して「(仮称)青春18応援きっぷ」を考えた。
次回でその詳細を解説