線路は続く1
新幹線を建設しますので、競合するJR並行路線は廃止するか、もしくは地元で存続方法を考えてください。
その結果第三セクターとなり、やがて新幹線に旅客を奪われたその線路は赤字路線となる。この図式でいいのだろうか
日本全国どこへ行くにも、線路は列車の走る区間続いている。九州を出発しようと四国を出発しようと知床斜里まででも線路は続く。その意味で国鉄路線を分割したことは正しかったのだろうか?
国鉄分割の時には新幹線と既存路線を分けないという基本方針があった。そのために東海道新幹線と並行する東京―熱海間、米原ー新大阪間は別の会社となった。
そのための弊害ももちろんあった。
参照 日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 9 - 紙つぶて 細く永く
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国鉄が分割民営化されたのは、目的の一つとして強力な労組をそれこそ分割し、結果的に総評・社会党を弱体化させることであった。そして次に、国鉄経営者の管理能力にたいする強い不信というものがあった。
それというのも国鉄の鉄道員は多い時で40万人以上が働いていたので、一人の総裁が管理できる能力を超えている、という言い分が表面だった分割の理由のひとつである。
そのあとでなぜか突然に最大5万人という数字が管理できる上限だという論が湧き出てき結果、貨物を含め7社に分割するということになった。5万人という数字そのものには管理できる限界か否かの根拠はない。
まず分割するならどのような形がいいかという検討のなかから、本州三社、北海道四国九州で三社、貨物は全国で一社計7社と考えられそこから5万人という数字がでてきたようだ。
しかし現代にとれば社員数の多い企業の例はいくつでもある。
まず日本
最新!これが「正社員が多い」トップ500社だ | 企業ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
そして世界
ケタ外れ!これが米国従業員数トップ200だ | 「米国会社四季報」で読み解くアメリカ優良企業 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
どうもつまるところ公社形態としての、つまり総裁といえども官吏としての管理能力は民間より劣っているので、というところが本音かもしれない。
官吏という性がもつ、独占的かつ、競争という法則のない世界では、所詮優秀な管理者は育たないということを、官吏のトップでもある当時の政府関係者はひそかに気づいていたのだろう。
国鉄民営化を検証する! 〜日本の選択 (23) - NAVER まとめ
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そして30年経た現在顧みると国鉄改革についての多くの意見は下記のようなものだろう。
はたして現実はそうなのだろうか?
(注)その残高は2017年3月時点では17兆7690億円(当初の47.9%)
国鉄清算事業団の長期債務残高はどのくらい残っていますか : 財務省
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どこかに忘れ物をしてきたみたいに、あっさりと17兆7690億円は記憶のかなたに行き、JR各社の好調な収支のみが強調され、またJR各社の利益追求体質のみが進化した。
http://www.mlit.go.jp/tetudo/kaikaku/01.pdf
そのJR各社の利益追求の努力にもかかわらず、いや利益追求の努力そのものがあるからこそ、各地整備新幹線の建設に走り、並行する不採算路線は特定地方交通線として廃線の憂き目にあっている。
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おまけ JR7社の鉄道部門経常利益を集計したところ、2016年決算で5857億7700万円程度になった。
これってどうなの?
追記 2020年は9304億9800万円程度
参照 日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 10 交通権とは - 紙つぶて 細く永く
REMEMBER3.11