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線路は続く0 鉄道年間旅客輸送量

線路は続く 目次

世界の鉄道年間旅客輸送量

少し日本の鉄道路線とその利用について考えよう。
主に世界の鉄道で採用されている鉄道利用集計は何人の乗客がどれだけの距離を乗ったかを積算する。つまり乗客数とその乗った距離の掛け算を集計し人キロという単位になる。この集計では長距離路線を保有しその路線を移動する旅客の多い中国やインド、欧州連合が当然多くなるので、日本は第4位。

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 しかし旅客輸送人数(単に鉄道改札を入った人数というものに近い)の集計では圧倒的に日本が多くなる。日本の鉄道(鉄道・ケーブル・モノレール等含む)は毎日定期で通勤する人や近郊への買い物等に出かける比較的近距離利用のひとたちが多いので改札を通過する人数のみの積算では各国に比べて相対的に多くなる。つまり日本の鉄道は多くの市民にかなり有効に活用されているのだ。その結果鉄道旅客輸送人数では他国を引き離して多くなる。日本の旅客輸送人数集計は89.9億人/年間となっている。2位がインドで65.2億人、3位ドイツ19.1億人と続く。それにしてもこの狭い国土で毎日多くの人が鉄道で動いていることが数字で現れている。

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wikipediaより


次に国土交通省が取りまとめたここ数年の旅客輸送人数の変化(指数は2010年を100する)を見てみる。ウィキペディアの資料は2008年の統計で2009年発表ということかな。下記JR東日本からの回答によると「年度」と「暦年」のちがいかもしれないとのこと。

事 項 別 業 態 別 全国計
  JR旅客会社 民鉄(JR以外)    
年度 千 人 指数 千 人 指数 千 人 指数
2008年度 8984425 101.9 13991675 101.0 22976100 101.4
2009 8840634 100.3 13883810 100.2 22724444 100.2
2010 8818311 100.0 13850700 100.0 22669011 100.0
2011 8837406 100.2 13794956 99.6 22632362 99.8
2012 8962809 101.6 14079047 101.6 23041856 101.6
2013 9146991 103.7 14459419 104.4 23606410 104.1
2014 9088121 103.1 14511730 104.8 23599851 104.1
2015 9308375 105.6 14981519 108.2 24289894 107.2
前年度比 102.4   103.2   102.9  
(数字で見る鉄道2016:運輸総合研究所)

2010年からは毎年増加傾向である。新幹線のあいつぐ開通延伸ということもあるが2010年度比4900万人の増加となっている。そういえば「インバウンド」外国人観光客の増加数百万人という数字もある。これについてはジャパンレイルパスの存在がある。  日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 2 - 紙つぶて 細く永く

備考追加 2016年11月17日 上記wikipediaに掲載されている年間旅客輸送人数はJR各社だけの数字です。というのもUICという組織は1922年の設立で日本は当時鉄道省として加盟していた(注1)。その経緯からか上記年間旅客輸送人数はJR各社の合計となっている。圧倒的に多い民鉄の数字を加算すると242.9億人となる。ちなみに上岡直見著「鉄道は誰のものか」によると、「地球上の鉄道輸送利用者の総数の六割を日本が占めている」となっている。
注1 http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2013/0004005763.pdf
感謝 国交省鉄道局・JR東日本から丁寧に回答いただいた。

でも凄い数字だ。

一方世界各国別鉄道総延長距離を見ると日本は11位。世界ではそう多い方ではない。つまり日本では短い鉄道路線を毎日多くの人が利用する、都市圏朝夕のラッシュを想像してもいかに詰め込んだ利用が行われているかがわかる。そのためにも、あの世界一正確な運行が必須不可欠な条件となっている。

世界・鉄道路線の総延長距離ランキング - 世界ランキングより
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日本は鉄道技術大国である。しかしその後を暗い影が追いかけてくる。
鉄道の総延長キロについていくつかの年で見てみる鉄道営業キロ推移(数字で見る鉄道2016:運輸総合研究所)

総延長キロ 年度 JR(1987までは国鉄 その他 JR比率
26181.3km
(内新幹線552.6km)
1965 20376.3km(新幹線含む) 5805.0km 77.8%
25882.0km
(内新幹線2011.8km)
1985 20478.7km(新幹線含む 5403.3km 79.1%
27496.7km
(内新幹線2620.2km)
2013 20127.1km(新幹線含む) 7369.6km 73.2%
27494.9km
(内新幹線2679.7km)
2014 20022.0km(新幹線含む) 7472.9km 72.8%

1965年は

鉄道総延長キロ26181.3km 
国鉄20376.3km 
その他(民間・第三セクター・公共交通機関)5805.0km 
国鉄(のちのJR)比率77.8% 
 

2014年になると

総延長キロは27494.9km  
JRは20022.0km  
その他が4129.6km  
JR比率は72.8% 

とJR路線総延長キロは新幹線を含めても下がってくる。
この数字からいえることは総延長距離は短くなるが旅客輸送人数は増加している。このままでは朝夕のラッシュはますます混み合い、方や閑散路線はますます廃線となってゆくことにならないだろうか。

JR在来線は「整備新幹線に加えて並行在来線を経営することは営業主体であるJRにとって過重な負担となる場合があるため、沿線全ての道府県及び市町村から同意を得た上で、整備新幹線の開業時に経営分離されることとなっています」ことから、新幹線が出来ると採算的に困難な路線はどんどん経営分離、第三セクターへと変わってゆくのです。その結果鉄道総延長キロが伸びてもJR路線はどんどん縮小されてゆきます。
またつぶやくことになったが、受け継いできた鉄道路線を採算面からのみの判断で廃線としていいのだろうか?

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