紙つぶて 細く永く

右の「読者になる」ボタンをクリックし読者なっていただくと記事更新時にお知らせが届きます。

}

日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 7

2017年4月旧シリーズ名「鉄道運賃はこのままでいいのだろうか」をタイトル変更しました。

今回はJR各社の連携について考えてみる。
もちろんJR路線は日本各地へレール間隔1067mmでくまなく続いている。JRの境界で分断されているのではない。分断されているのは新幹線だ。
その連続している路線を6社に分けて、かつ新幹線だけを分離しないという方針でJRは発足した。そのこと自体にたいする批判もあるが今は利用者としてそのJR各社連携についての一考察。

ことの発端は・・・
例によって今冬青春18きっぷでの小旅行を計画した。そこでかって、飯田線で5時間の普通列車にのったことを思い出し、最長列車を調べてみた。すると北海道滝川発釧路行「2429D」8時間27分とわかった。走行距離308.4km。
しかしこの列車は2016年8月の台風で根室本線が甚大な被害を受け東鹿越-新得間が不通となっているため、現在走っていない。

News2016年12月15日JR北海道HPによると石勝線トマム新得間は12月22日から開通とのこと。今後の根室本線の開通にも期待しよう。

そこで思い切って方向転換。房総を目指した。夕陽が印象的だった館山へは一度行ったことがあるが、とくに外房は一度も訪れたことはなく東に面する太平洋の朝日を眺めようと考えた。

まず東金で宿がとれた。折角休みを取るのだからともう一泊を探した。東金からもちろん青春18きっぷで行ける範囲=近くではなく普通列車一日分の距離を考えた。さんざん考えた挙句、決まったのは冬のおいこっと号。

www.jreast.co.jp

長野から飯山へは途中にしなの鉄道区間が含まれる。しなの鉄道は1998年に開催された長野オリンピックに合わせて敷かれた長野新幹線開通により並行在来線となる軽井沢~篠ノ井間で1997年に開業した。そして北陸新幹線としての延伸により長野から直江津間がまた、第三セクター化された。いわば新幹線運行のお荷物として自治体にわたされた路線であるということを覚えておきたい。
この区間は特例で青春18きっぷでの乗車が可能になっている。また冬のおいこっとは全席指定なので青春18きっぷの場合は別途指定席券のみを手配しなければいけない。JR各社に聞いてみた。JR東日本ではえきねっとで扱う商品なので運賃・指定席券ともに購入は可能とのこと。
おいこっとは人気列車との情報もあり近くで確実に指定席券をと考えJR西日本お客様センターにも確認したところ、係員も知らない列車のようで時間をかけて調べてくれた。
その回答は「みどりの窓口で購入が可能。ただし人気列車で残席数が少ないようです」とのこと。残席数までわかるくらいだからとの思いもありこれは間違いないと最寄り駅窓口に聞いた。ところが駅のマルス端末機をたたいてくれるが出てこない。お客様センターで確認したのでと再度強く依頼をするがやはり出ないとのこと。どうやら間に「しなの鉄道」区間が入ることかららしい。

f:id:greengreengrass:20161216113258j:plain

f:id:greengreengrass:20161216113104j:plain

そこで電話によって各方面に聞いてみた。

しなの鉄道に聞いた
「しなの鉄道のキップが変えるのはJR東日本の窓口。各社と契約をしないと販売してもらえないので」
どうやら第三セクター(もっともそれに限らず純粋な昔からの私鉄路線でもそうなのだろうが)の路線は切符についての取り扱い契約のようなものを結ばないとJRでも切符を販売できないことになっているのだ。
参考として同じ第三セクター京都丹後鉄道にも聞いた
「JR各社で切符を買われる場合、帰りの切符購入が第三セクター側でも発生する可能性があるので、第三セクターで帰り切符が販売できるようにとなるとマルス端末の設置など経費がかさむ。そのため丹後鉄道を含め全国の第三セクターではいまのところ(販売エリア)縮小傾向ではないか」

JR西日本窓口のJR西日本で発売できるキップについての見解
「JR6社線から特急がでている経路についてはみどりの窓口で購入可能」
「それでもWebおでかけネットで表示できるのはJR西日本・JR九州・JR四国・東海道新幹線に限られる」

第三セクター2社以上を含む経路はJRマルスシステムではシステムとして発券できない、との見解もあった。つまり第三セクター「A社」と「B社」を結びつける切符はシステムの制限から発券できないということらしい。
システム構成の面から、つまりデバッグに要する手間や未来のシステム要件変更にたいする用心からハードルを低く抑えようとする。そうであればこれは以下記事に記載のような現状を鑑みずむやみに不安を過大評価し臆病になっているに過ぎない。
現在のマルスシステムでさえかなり複雑なシステム構成になっている。下記参照

news.mynavi.jp

それよりもなによりシステムとして大変参考になるのはNAVITIMEで実現しているということではないだろうか。

しかしシステムとしてクリアできても下記にあるようにコスト面から難しいのが現状のようだ。

Yahoo知恵袋の回答JRの特急列車が乗り入れる路線だと、マルス端末機を配置する需要はあると思いますが、 乗り入れないなら、接続駅でJRから乗り換える際に切符を購入すればいいので、 マルス端末機を配置する必要性が低い。 しなの鉄道の場合、JR時代から使われていたM型端末機の運用中止と同時に、連絡運輸範囲を狭めているくらいです。 現在は、戸倉駅でビジネスえきねっと端末機が稼働しているのみです。 ビジネスえきねっと端末機一台で、固定費が一年間で60万円(専用回線&専用プリンターの使用料)です。 端末機設置費用+年間60万円で、JR券の取り扱いは可能ということです。 マルス端末機も、同じくらいの負担があると思われます。負担が大き過ぎます。 以前、連絡運輸のJR切符販売手数料は売上の5%と聞いたことがあります。 元を取るには、JR券だけで一台あたり一千二百万円(上田~東京都区内新幹線普通車自由席6150円の二千枚分)/年 の販売が必要です。 JRからの直通特急列車の停車駅なら、指定席券販売のためにマルス端末機を配置するでしょうけど、 そうでないなら計算上は採算として無理になる。


そうなるとこのままではますます第三セクターの切符は買い求めにくくなる。

日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 8 - へ進む

日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 6 - へ戻る

 

REMEMBER3.11

不断の努力「民主主義を守れ」