京都の路面電車・京都電気鉄道
京都にはかって総延長100kmほどの路面電車が敷設されていた。
時は1895(明治28)年京都駅南から伏見区油掛までの6.7kmほどを日本最初の路面電車として開通した。
その後開設延長距離は99.6kmとなり、そして最長時の延長距離は86.5kmになった。
下図にはその後開設された路線をすべて記載した。
京都電気鉄道が開通した当初は、新しい鉄道として市民の間で大変人気となり多くの乗客が利用した。
年を経て第二次大戦後、1970年ころからはモータリゼーションの波が京都にも押し寄せ、道路はマイカーであふれていた。
そのため狭い京都の道路を市電、マイカー双方がひしめき合うこととなり、ついに長い歴史を誇った電車の方が折れ撤収することとなった。
最終的に1978年9月30日にその全路線が廃止された。
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京都は明治維新後の凋落で寂れた。
京都の人口はその当時30万人以下、大阪が30万人以上、江戸(東京)は100万人を超えていた。
路面電車は古来から日本の中心であった京都が明治維新後の凋落を受けて必死でその近代化を武器に生き残ろうと計画した、京都三大事業の一つだ。
東京に天皇が行くことで京都府には新政府から10万両の下賜金(現在の50億円ほど)と15万両の貸付金が下付され、その資金を使い三大事業は実行された。
琵琶湖疎水
下図は琵琶湖から引かれた疎水。
琵琶湖水面と京都蹴上付近は標高差が40mほどある。この高低差を利用して琵琶湖の水を京都へ引こうと考えた。
琵琶湖取水口から蹴上までは8km少し。
最後の蹴上付近にはインクラインという傾斜鉄道が敷設されたからインクライン上部での標高は80mほどになる。
測量によると取水口と蹴上船溜まりまでの距離が8444m、高低差は4m。
つまり4/8444、2111分の1(2111mで1m下がる)という絶妙な勾配だ。
舟はこのインクラインでは高低差36mほどを台車にのって上下した。
そしてここの高低差を利用して水力発電がおこなわれている。現在も発電所は現役。
この電力を使って京都電気鉄道は走った。
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日本初の路面電車・京都電気鉄道
京都電気鉄道創業1895年から1912年までに南北を貫く伏見線、木屋町線、北野線、堀川線等を開設。
上図は一部間違っていましたので差し替えました。(2021/9)
京都電気鉄道が開業したのは1895(明治28)年2月
まず京都駅から伏見・油掛駅までが開通、その後すぐに木屋町線、中立売線、北野線と延伸していった。
この時期には版籍奉還のあとまだ市制は成立しておらず、郡区町村編制法として京都の主な自治体は上京区・下京区・伏見区(その後町となる)その他の村という構成だった。
京都路面電車の歴史 第1期 | ||||||
開通順 | 年 | 月 | 路線 | 開始駅到着駅 | 距離km | 事業会社 |
1 | 1895 | 2 | 伏見線 | 七条停車場南 | 6.71 | 京 都 電 気 鉄 道 |
伏見油掛 | ||||||
2 | 1895 | 4 | 木屋町 | 七条停車場北 | 5.19 | |
岡崎 | ||||||
3 | 1895 | 9 | 中立売 | 木屋町二条 | 2.95 | |
堀川下立売 | ||||||
4 | 1900 | 5 | 北野線 | 堀川下立売 | 1.38 | |
下ノ森 | ||||||
5 | 1901 | 3 | 出町線 | 寺町丸太町 | 1.59 | |
出町 | ||||||
6 | 1901 | 4 | 連絡橋 | 八条新道 | 0.67 | |
京都停車場 | ||||||
7 | 1901 | 12 | 堀川線 | 堀川下立売 | 1.27 | |
堀川三条 | ||||||
8 | 1902 | 2 | 城南線 | 堀川押小路 | 1.0 | |
二条駅前 | ||||||
9 | 1902 | 10 | 堀川線 | 堀川三条 | 0.82 | |
四条西洞院 | ||||||
10 | 1904 | 8 | 稲荷線 | 勧進橋 | 0.69 | |
稲荷 | ||||||
11 | 1904 | 12 | 西洞院 七条 |
四条 | 2.24 | |
京都停車場 | ||||||
12 | 1912 | 5 | 御池線 | 堀川御池 | 0.85 | |
二条駅前 | ||||||
廃線 | 1912 | 5 | 城南線 | 下ノ森 | -1.0 | |
北野 | ||||||
13 | 1912 | 5 | 北野線 | 下ノ森 | 0.22 | |
北野 | ||||||
総距離 23.7km |
京都電気鉄道の市内メイン路線は現在の河原町通がまだ拡幅されていなかったので、木屋町を走った。
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京都市:特別展「こんにちは京都市電-京都市電関係資料をひもとく-」
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