線路は途切れずに続く
(別掲載のブログです)線路は続くシリーズに組み込みました。
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今回はJR各社の連携について考えてみる。
もちろんJR路線は日本各地へレール間隔1067mmでくまなく続いている。
JRの境界で分断されているのではない。分断されているのは新幹線だ。
その連続している路線を6社に分けて、かつ新幹線だけを分離しないという方針でJRは発足した。
そのこと自体にたいする批判もあるが今は利用者としてそのJR各社連携についての一考察。
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冬のおいこっと号を利用しようと考えた。
しなの鉄道は1998年に開催された長野オリンピックに合わせて敷かれた長野新幹線開通により、並行在来線となる軽井沢~篠ノ井間で1997年に開業した。
そして北陸新幹線としての延伸により長野から直江津間がまた、第三セクター化された。
いわば新幹線運行のお荷物として自治体にわたされた路線であるということを覚えておきたい。
この区間は特例で青春18きっぷでの乗車が可能になっている。
また冬のおいこっとは全席指定なので青春18きっぷの場合は別途指定席券のみを手配しなければいけない。
JR各社に聞いてみた。JR東日本ではえきねっとで扱う商品なので運賃・指定席券ともに購入は可能とのこと。
おいこっとは人気列車との情報もあり近くで確実に指定席券をと考えJR西日本お客様センターにも確認したところ、係員も知らない列車のようで時間をかけて調べてくれた。
その回答は「みどりの窓口で購入が可能。ただし人気列車で残席数が少ないようです」とのこと。
残席数までわかるくらいだからとの思いもありこれは間違いないと最寄り駅窓口に聞いた。ところが駅のマルス端末機をたたいてくれるが出てこない。お客様センターで確認したのでと再度強く依頼をするがやはり出ないとのこと。
続いた線路の利用
各方面に聞いてみた。
しなの鉄道に聞いた
「しなの鉄道のキップが変えるのはJR東日本の窓口。各社と契約をしないと販売してもらえないので」
どうやら第三セクター(もっともそれに限らず純粋な昔からの私鉄路線でもそうなのだろうが)の路線は切符についての取り扱い契約のようなものを結ばないとJRでも切符を販売できないことになっているのだ。
参考として同じ第三セクター京都丹後鉄道にも聞いた
「JR各社で切符を買われる場合、帰りの切符購入が第三セクター側でも発生する可能性があるので、第三セクターで帰り切符が販売できるようにとなるとマルス端末の設置など経費がかさむ。そのため丹後鉄道を含め全国の第三セクターではいまのところ(販売エリア)縮小傾向ではないか」
JR西日本窓口のJR西日本で発売できるキップについての見解
「JR6社線から特急がでている経路についてはみどりの窓口で購入可能」
「それでもWebおでかけネットで表示できるのはJR西日本・JR九州・JR四国・東海道新幹線に限られる」
第三セクター2社以上を含む経路はJRマルスシステムではシステムとして発券できない、との見解もあった。
つまり第三セクター「A社」と「B社」を結びつける切符はシステムの制限から発券できないということらしい。
システム構成の面から、つまりデバッグに要する手間や未来のシステム要件変更にたいする用心からハードルを低く抑えようとする。
そうであればこれは以下記事に記載のような現状を鑑みずむやみに不安を過大評価し臆病になっているに過ぎない。
現在のマルスシステムでさえかなり複雑なシステム構成になっている。下記参照
それよりもなによりシステムとして大変参考になるのはNAVITIMEで実現しているということではないだろうか。
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しかしシステムとしてクリアできても下記にあるようにコスト面から難しいのが現状のようだ。
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そうなるとこのままではますます第三セクターの切符は買い求めにくくなる。
日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 7 - 紙つぶて 細く永く
で取り上げた「おいこっと指定席」は京都市内のJTBで購入することができた。
JR西日本のみどりの窓口でのマルス端末では発券できなかった指定席券が関西にある旅行代理店の発券端末ではOKということになる。
(JTBの発券端末はMARS端末ではなくJTB独自の「TRIPS」以下参照ということが分った 。 この点は以下段落でさらなる修正をする)
【事例編】JTB、基幹系プラットフォームを刷新 - 進化するITプラットフォーム Part8 | IT Leaders
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しかし、長野駅でおいこっとに乗車にこの「おいこっと指定席」券を持参していなかった。
長野駅のみどりの窓口で相談した。後ろに大勢の観光客がいる中で事情を話した。
まずまだ指定席は空いているようで、だめなら2席を新しく買い求めるために確保。
そこで窓口担当者に持参を忘れたことを話し相談した。
すると、よくあることのようで、(あきれて)「はいはい」と手慣れたもの。
発行された切符は下記画像の「(紛失再)」の文字aが入力された指定席切符だった。
これをみどりの窓口へ持って行けば払い戻しができますよ」との案内。
そしておいこっと3号車掌は上記画像のcを押印、到着したJR東日本飯山駅の改札で上記画像のd再収受証明を捺印してくれた。
そして購入したJTBの窓口へ行き使用済みの切符を提示し払い戻ししてもらうことにした。
(詳細記事日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 番外4 V字旅行1 - 紙つぶて 細く永く)
その時JTB窓口で職員から、上記「おいこっと指定席」はJTBでも発券できない切符だということを知らされた。(間違って発券したそうだ)
事情は大変複雑に込み入っておりこれを紐解くことも詳細な契約の話となり相当困難だ。
旅行代理店窓口担当者では詳細がわからなかったので、しなの鉄道に連絡を入れたところ、次の回答があった。
そうなると次の問題として100%JR東日本の指定席券を旅行代理店で発券できないのかなという疑問がわく。
そして、その疑問に、JTBから追加の下記回答が来た。
それを受けてJR東日本お問合せセンターにも聞いた。
詳しい部署に聞いたうえで返答してくれた。
やはりこの切符はJR東日本のみどりの窓口と、そしてJR東日本管内にある旅行代理店でしか販売できないはずの切符とのことであった。
JR東日本以外のエリアからの訪問客がこの切符を含む旅を考えた時に、当然人気観光列車ということもあり、事前に切符を手配することは大いに考えられる。
しかし他のJR切符と同じように手配できないのだ。
解決法としては該当する切符だけを別途、JR東日本の「えきねっと」で予約し、現地に着いた時自動販売機やみどりの窓口で受け取るということになる。
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機械システム的には発券可能ではあるが、運用契約で発券しないとなっているのだろう。
それで担当者は運用契約を失念し間違って発券したことになる。
システムを組む立場から考えても通常のシステムに、もう一アクションを付け加え端末設置場所を特定する工程が必要となるので、コストアップにつながり、また設置後になんらかの事情で端末をエリア外からエリアの中へ移動することもあるだろうからこのような付加要件をつけることは好ましくない。
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しなの鉄道北しなの線は旧国鉄の路線であり、昨2016年までJR東日本の路線であった。JR西日本とも縁遠い路線ではない。そのような路線でもやはり発券できるか否かは各JRと第三セクター(しなの鉄道等)個々の契約により発売できる切符が変わる。
何故こんなに面倒なことになるのか鉄道利用者の立場にとって非常に不可解だ。
旧国鉄の路線は分割されそしてJR7社となった。
JRとしての協力体制はどうなっているのだろうか。
部外者には表にでてくる各種お知らせでしか判断できないが、結論から言って連携に重心を置くよりも、すでに各社独立組織としてそれぞれの企業体質が育ちつつあるようだ。
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そんな中新聞にJR東日本会長のインタビューが掲載された。
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なんとも短いインタビュー記事であるがポイントは
「鉄道は本来、一定以上の乗客がいることで初めて利点が生かせる。
乗客が極端に少ないならばバスの方が赤字は少ない」
と断言しているところだ。
予てから主張しているようにもちろんJR路線は日本各地へレール間隔1067mmでくまなく続いている。JRの境界で分断されているのではない。
日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 7 - 紙つぶて 細く永く
ならば全国の地方交通線も全国の鉄路の一部として、たとえば山田線・只見線等を考える目も必要ではないか。
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ではJR各社の連携を調べる方法として、Webページでの全国の切符関連情報はどうなっているのだろうか。
下記調べた。
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そしてそれぞれのWebページには下記の但し書きがついている。
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各社で何らかの方程式があるようだが詳細は不明である。
結果JR東日本えきねっとはほぼ旧国鉄の路線に合致して使用できるようだ。(ただしみどりの窓口で購入できるか否かは別の制限がつく)
REMEMBER3.11