紙つぶて 細く永く

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旧国鉄線路は続いている 日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 65 線路は続く31

線路は続く 目次

線路は途切れずに続く

(別掲載のブログです)線路は続くシリーズに組み込みました。

今回はJR各社の連携について考えてみる。
もちろんJR路線は日本各地へレール間隔1067mmでくまなく続いている。

JRの境界で分断されているのではない。分断されているのは新幹線だ。

その連続している路線を6社に分けて、かつ新幹線だけを分離しないという方針でJRは発足した。

そのこと自体にたいする批判もあるが今は利用者としてそのJR各社連携についての一考察。

冬のおいこっと号を利用しようと考えた。

のってたのしい列車 ポータル>おいこっと:JR東日本

おいことっとは長野駅から飯山駅へ進む。

途中にしなの鉄道区間が含まれる。

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しなの鉄道は1998年に開催された長野オリンピックに合わせて敷かれた長野新幹線開通により、並行在来線となる軽井沢~篠ノ井間で1997年に開業した。

そして北陸新幹線としての延伸により長野から直江津間がまた、第三セクター化された。

いわば新幹線運行のお荷物として自治体にわたされた路線であるということを覚えておきたい。
この区間は特例で青春18きっぷでの乗車が可能になっている。

また冬のおいこっとは全席指定なので青春18きっぷの場合は別途指定席券のみを手配しなければいけない。

JR各社に聞いてみた。JR東日本はえきねっとで扱う商品なので運賃・指定席券ともに購入は可能とのこと。

おいこっとは人気列車との情報もあり近くで確実に指定席券をと考えJR西日本お客様センターにも確認したところ、係員も知らない列車のようで時間をかけて調べてくれた。
その回答は「みどりの窓口で購入が可能。ただし人気列車で残席数が少ないようです」とのこと。

残席数までわかるくらいだからとの思いもありこれは間違いないと最寄り駅窓口に聞いた。ところが駅のマルス端末機をたたいてくれるが出てこない。お客様センターで確認したのでと再度強く依頼をするがやはり出ないとのこと。

どうやら間に「しなの鉄道区間が入ることかららしい。

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続いた線路の利用

各方面に聞いてみた。

しなの鉄道に聞いた
しなの鉄道のキップが変えるのはJR東日本の窓口。各社と契約をしないと販売してもらえないので」

どうやら第三セクター(もっともそれに限らず純粋な昔からの私鉄路線でもそうなのだろうが)の路線は切符についての取り扱い契約のようなものを結ばないとJRでも切符を販売できないことになっているのだ。

参考として同じ第三セクター京都丹後鉄道にも聞いた
「JR各社で切符を買われる場合、帰りの切符購入が第三セクター側でも発生する可能性があるので、第三セクターで帰り切符が販売できるようにとなるとマルス端末の設置など経費がかさむ。そのため丹後鉄道を含め全国の第三セクターではいまのところ(販売エリア)縮小傾向ではないか」

JR西日本窓口のJR西日本で発売できるキップについての見解
「JR6社線から特急がでている経路についてはみどりの窓口で購入可能」
「それでもWebおでかけネットで表示できるのはJR西日本JR九州・JR四国・東海道新幹線に限られる」

第三セクター2社以上を含む経路はJRマルスシステムではシステムとして発券できない、との見解もあった。

つまり第三セクター「A社」と「B社」を結びつける切符はシステムの制限から発券できないということらしい。
システム構成の面から、つまりデバッグに要する手間や未来のシステム要件変更にたいする用心からハードルを低く抑えようとする。

そうであればこれは以下記事に記載のような現状を鑑みずむやみに不安を過大評価し臆病になっているに過ぎない。

現在のマルスシステムでさえかなり複雑なシステム構成になっている。下記参照

news.mynavi.jp

それよりもなによりシステムとして大変参考になるのはNAVITIMEで実現しているということではないだろうか。

しかしシステムとしてクリアできても下記にあるようにコスト面から難しいのが現状のようだ。

Yahoo知恵袋の回答JRの特急列車が乗り入れる路線だと、マルス端末機を配置する需要はあると思いますが、 乗り入れないなら、接続駅でJRから乗り換える際に切符を購入すればいいので、 マルス端末機を配置する必要性が低い。
しなの鉄道の場合、JR時代から使われていたM型端末機の運用中止と同時に、連絡運輸範囲を狭めているくらいです。
現在は、戸倉駅でビジネスえきねっと端末機が稼働しているのみです。
ビジネスえきねっと端末機一台で、固定費が一年間で60万円(専用回線&専用プリンターの使用料)です。
端末機設置費用+年間60万円で、JR券の取り扱いは可能ということです。
マルス端末機も、同じくらいの負担があると思われます。負担が大き過ぎます。
以前、連絡運輸のJR切符販売手数料は売上の5%と聞いたことがあります。
元を取るには、JR券だけで一台あたり一千二百万円(上田~東京都区内新幹線普通車自由席6150円の二千枚分)/年 の販売が必要です。
JRからの直通特急列車の停車駅なら、指定席券販売のためにマルス端末機を配置するでしょうけど、 そうでないなら計算上は採算として無理になる。


そうなるとこのままではますます第三セクターの切符は買い求めにくくなる。

日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 7 - 紙つぶて 細く永く

で取り上げた「おいこっと指定席」は京都市内のJTBで購入することができた。

JR西日本みどりの窓口でのマルス端末では発券できなかった指定席券が関西にある旅行代理店の発券端末ではOKということになる。

(JTBの発券端末はMARS端末ではなくJTB独自の「TRIPS」以下参照ということが分った 。 この点は以下段落でさらなる修正をする)

【事例編】JTB、基幹系プラットフォームを刷新 - 進化するITプラットフォーム Part8 | IT Leaders

しかし、長野駅でおいこっとに乗車にこの「おいこっと指定席」券を持参していなかった。

長野駅みどりの窓口で相談した。後ろに大勢の観光客がいる中で事情を話した。

まずまだ指定席は空いているようで、だめなら2席を新しく買い求めるために確保。

そこで窓口担当者に持参を忘れたことを話し相談した。

すると、よくあることのようで、(あきれて)「はいはい」と手慣れたもの。

発行された切符は下記画像の「(紛失再)」の文字が入力された指定席切符だった。

これをみどりの窓口へ持って行けば払い戻しができますよ」との案内。

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そしてJR東日本長野駅改札で上記画像のを押印してくれた。

そしておいこっと3号車掌は上記画像のを押印、到着したJR東日本飯山駅の改札で上記画像の再収受証明を捺印してくれた。

そして購入したJTBの窓口へ行き使用済みの切符を提示し払い戻ししてもらうことにした。

(詳細記事日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 番外4 V字旅行1 - 紙つぶて 細く永く

その時JTB窓口で職員から、上記「おいこっと指定席」はJTBでも発券できない切符だということを知らされた。(間違って発券したそうだ)

事情は大変複雑に込み入っておりこれを紐解くことも詳細な契約の話となり相当困難だ。
旅行代理店窓口担当者では詳細がわからなかったので、しなの鉄道に連絡を入れたところ、次の回答があった。

しなの鉄道説明しなの鉄道路線運賃部分についてはしなの鉄道売上になるが指定席部分は全額JR東日本の売上収入になる。

 そうなると次の問題として100%JR東日本の指定席券を旅行代理店で発券できないのかなという疑問がわく。
そして、その疑問に、JTBから追加の下記回答が来た。

JTB回答JTBには「TRIPS」端末と「MARS」端末双方が置かれているとのこと。(問題の指定席券は当然「MARS」端末で発券したと思われる)
JRと交わしたMARS端末の発券要項ではこの区間の上記指定席券はJR東日本管内にある旅行代理店店舗でのみ発売可能な切符となっている。
担当者が間違って発券した。


 それを受けてJR東日本お問合せセンターにも聞いた。

詳しい部署に聞いたうえで返答してくれた。

やはりこの切符はJR東日本みどりの窓口と、そしてJR東日本管内にある旅行代理店でしか販売できないはずの切符とのことであった。

 JR東日本以外のエリアからの訪問客がこの切符を含む旅を考えた時に、当然人気観光列車ということもあり、事前に切符を手配することは大いに考えられる。

しかし他のJR切符と同じように手配できないのだ。

 解決法としては該当する切符だけを別途、JR東日本の「えきねっと」で予約し、現地に着いた時自動販売機やみどりの窓口で受け取るということになる。

 機械システム的には発券可能ではあるが、運用契約で発券しないとなっているのだろう。

それで担当者は運用契約を失念し間違って発券したことになる。

 システムを組む立場から考えても通常のシステムに、もう一アクションを付け加え端末設置場所を特定する工程が必要となるので、コストアップにつながり、また設置後になんらかの事情で端末をエリア外からエリアの中へ移動することもあるだろうからこのような付加要件をつけることは好ましくない。

 しなの鉄道北しなの線は旧国鉄の路線であり、昨2016年までJR東日本の路線であった。JR西日本とも縁遠い路線ではない。そのような路線でもやはり発券できるか否かは各JRと第三セクターしなの鉄道等)個々の契約により発売できる切符が変わる。
何故こんなに面倒なことになるのか鉄道利用者の立場にとって非常に不可解だ。

 旧国鉄の路線は分割されそしてJR7社となった。

JRとしての協力体制はどうなっているのだろうか。

部外者には表にでてくる各種お知らせでしか判断できないが、結論から言って連携に重心を置くよりも、すでに各社独立組織としてそれぞれの企業体質が育ちつつあるようだ。

そんな中新聞JR東日本会長のインタビューが掲載された。

線路は続く:28 会長に聞く■「国全体で考えないといけない時期を迎えていると思う」
《地方の公共交通を誰が守るべきか。東日本大震災で被災を経験したJR東日本の清野智(せいのさとし)会長(69)に聞いた。  人口減への危機感から、企業だけでなく国全体での議論を訴えた。》  
――震災に限らず、災害からの復旧で、鉄路かバスか廃止かの議論が繰り返される。実際に廃止されるJR路線も出ているが。
 「レールがつながっていて欲しいという人々の思いがあるのは理解できる。  ただ、鉄道は本来、一定以上の乗客がいることで初めて利点が生かせる。  乗客が極端に少ないならばバスの方が赤字は少ない」
 「バスへの転換は地域を見捨てることではない。  例えば東北の被災区間の一部で導入したBRT(バス高速輸送システム)は、ルートを病院や高校まで延ばして利便性を高めた結果、  地元の人も評価してくれている」
 ――JR各社は国鉄改革で30年前に誕生した。たとえ赤字でも、引き継いだローカル線の維持は責務ではないか。  特に、黒字のJR東日本などは経営的にも可能ではないか。
 「現時点では鉄路を廃止する考えはなくても、さらに人口減が進むとどうなるか。  鉄道が、地域の公共交通の最後の手段かどうかは、地域の需要など様々な状況の変化を含め、ていねいに議論すべきだろう」  
――線路や駅を自治体が保有し、鉄道会社が列車を運行する「上下分離方式」が、鉄路を残す時の選択肢としてよく浮上する。確かに鉄道会社の負担が軽減される。
 「人口減の進む地方にとっても一つの選択肢だろう。  ただ、鉄道会社が負担する運行費だけでなく、自治体が保有する車両や線路の維持費も将来にわたって必要になることを忘れてはいけない」  
――少子高齢化や人口減など、JR発足時とは社会が変わってきた。公共交通が維持できないと、地方はますます衰退する。
 「私が会長を務める『東北観光推進機構』では、外国人の誘客とともに、鉄路とバス、飛行機を組み合わせて被災地を回る『教育観光』も推進したい。  観光で地域活性化を目指せる人材の育成や、財政支援などを、産官学一体で推進できるよう働きかけている」
 「これだけで根本的な解決、とはならない。どのような形で公共交通を守るか、国全体で考えないといけない時期を迎えていると思う」  


なんとも短いインタビュー記事であるがポイントは
「鉄道は本来、一定以上の乗客がいることで初めて利点が生かせる。

 乗客が極端に少ないならばバスの方が赤字は少ない」
と断言しているところだ。

予てから主張しているようにもちろんJR路線は日本各地へレール間隔1067mmでくまなく続いている。JRの境界で分断されているのではない。

日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 7 - 紙つぶて 細く永く

ならば全国の地方交通線も全国の鉄路の一部として、たとえば山田線・只見線等を考える目も必要ではないか。

ではJR各社の連携を調べる方法として、Webページでの全国の切符関連情報はどうなっているのだろうか。
 下記調べた。

JR東海Webアクセス検索
  • 「Webで表示できるのはJR東海エリアと新幹線が絡む場合との説明」
  • (しかし京都ー大阪在来線も表示)
  • 「名古屋」「博多」間は表示 
  • 「名古屋」「鹿児島中央」間は新幹線でも非表示「該当駅がありません」
JR西日本Webおでかけネット
JR東日本のWebえきねっと


そしてそれぞれのWebページには下記の但し書きがついている。

JR西日本での表示エリア案内
マイ・ダイヤ|ご利用案内:JRおでかけネット
JR東海での表示エリア案内
http://railway.jr-central.co.jp/timetable/area.html
JR東日本での表示エリア案内
www.eki-net.com


各社で何らかの方程式があるようだが詳細は不明である。

結果JR東日本えきねっとはほぼ旧国鉄の路線に合致して使用できるようだ。(ただしみどりの窓口で購入できるか否かは別の制限がつく)

線路は続く 目次

 

2020年発表JR各社の決算より
  • JR北海道
    2020年3月発表決算
    運輸収入「875億円」:赤字「▲521億円
  • JR四国
    2020年3月発表決算
    運輸収入「280億円」:赤字「▲131億円
  • JR東海
    2019年3月発表決算リニア新幹線関連投資予算額3100億円)
    2020年3月発表決算
    運輸収入「1兆4222億円」:鉄道部門利益額「6167億3300万円」
    (2020年3月発表決算リニア新幹線関連投資額未掲載)
  • JR東日本
    2020年3月発表決算
    運輸収入「1兆9692億円」:鉄道部門利益額「2540億9500万円」
  • JR西日本
    2020年3月発表決算
    運輸収入「9318億円」:鉄道部門利益額「1054億1200万円」
  • JR西日本
    2020年3月発表決算
    運輸収入「9318億円」:鉄道部門利益額「1054億1200万円」
  • JR九州
    2020年3月発表決算
    運輸収入「1652億円」:鉄道部門利益額「200億8900万円」

REMEMBER3.11