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由緒ある?「書店」

梶井基次郎「檸檬」
京都大学の学生であった梶井基次郎の亡くなる1年ほど前の1931年(昭和6年)5月15日に武蔵野書院より刊行され(印刷日は5月10日)、これが梶井の生涯で唯一の出版本となった。一個のレモンと出会ったときの感動や、それを洋書店の書棚の前に置き、鮮やかなレモンイエローの爆弾を仕掛けたつもりで逃走するという空想が描かれている。
その洋書店のモデルになったのが初代丸善。やがて店舗の位置もかわり当時書店の激戦区であった河原町に移った。
その河原町丸善京都店は改装の結果通路が狭く本が選びにくい店舗であった。それが原因か2005年に閉店となった。閉店に際しては「檸檬」と同じように書棚にレモンを置いてゆく人が何人もいたそうである。

先日8月その丸善が少し場所を変えて再度河原町に帰ってきた。今度は相当力を入れている様子がうかがえる店づくりとなっている。
丸善のビルは2005年立ち去った後にカラオケショップとなった。
苦悩した店舗運営だったと思うが、この書店には気概というものが欠けている気がする。業界でも範を示した淳久堂書店と合併しその歴史の長さから淳久堂書店を差し置いて株式会社 丸善ジュンク堂書店という丸善優先の名前で再発足したのだそうだ。

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京都への舞い戻り方といい、ジュンク堂との合併といい、今回の渋谷店の体たらくといい文化の一翼を担う由緒ある書店が泣いているのであろう。コーナーとしてのお勧め本を自主的に並べられないという事態・店舗運営を、コーナー担当者の立場にたてばどのように納得するのだろう。会社名維持ににそそぐ情熱を文化の継承にもそそいでもらいたいという気がする。

 

 

REMEMBER3.11

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