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ふるさと納税 あなたの街は好かれているか4 危惧される「ふるさと納税」の実態

変質するふるさと納税

ふるさと納税はその歪な様相から2019年6月に規制が強化された。

返礼品の限度額3割未満というルールが厳守されるようになり高額な返礼品は無くなった。

しかし、現状でもふるさと納税で、10万円の寄付をした場合2万8千円の特産品が入手でき9万8千円の控除が受けられるということになる。

やや過度な期待は遠のいた感はあるが、現在のふるさと納税にはどのような実態があるのか、ここから最新のデータふるさと納税受入金額(2019年)が入手出来たので、2019年のデータに基づいて検証する。

2018年に比してふるさと納税は減った。

資料元 総務省|ふるさと納税ポータルサイト|関連資料

2018年/2019年ふるさと納税
年度 受入件数 ふるさと納税総額 一件当金額 自治体受入金額
2018 23223826 5127億633万9456円 22,077円 2億9448万9569円
2019 23139680 4815億6122万7261円 20,811円 2億7660万360円

総額では312億円減少、一件当たりの金額は1200円ほどの減額だった。 

また総務省から一度は除外された4市町の前年比は以下となった

4市町 2018年 2019年 前年比
府県 市町 件数 受入金額 件数 受入金額
大阪府 泉佐野市 2502250 497億5290万6465円 307630 184億9691万7069円 37.2%
静岡県 小山町 296293 250億6297万2141円 16625 7億8906万0001円 3.1%
佐賀県 みやき町 227850 168億3383万5181円 2812 8257万4717円 0.5%
和歌山県 高野町 141155 196億3706万6902円 797 2110万1000円 0.1%

当該の4市町では裁判の経過待ちと登録返礼品の修正などにより、2019年の開始時期が遅れるなどの影響があったようだ。

2018年と2019年の上位10市町村の傾向

2018年/2019年ふるさと納税
都道府県 市町村 2018年 2019年
件数 受入金額 順位 件数 受入金額 順位
大阪府 泉佐野市 2502250 49752906465 1 307630 18496917069 1
静岡県 小山町 296293 25062972141 2 16625 789060001 128
和歌山県 高野町 141155 19637066902 3 797 21101000 1275
佐賀県 みやき町 227850 16833835181 4 2812 82574717 814
宮崎県 都農町 585450 9626976684 5 270465 5208339194 6
宮崎県 都城市 638544 9562349367 6 503916 10645340769 2
大阪府 熊取町 68386 7640427012 7 2226 223041000 487
茨城県 境町 180007 6082536574 8 185743 3066015180 17
北海道 森町 498334 5908852000 9 74969 1604762000 52
佐賀県 上峰町 303083 5317764816 10 278000 4672144855 7
北海道 紋別市 112866 2148217823 31 448803 7737694959 3
北海道 白糠町 186036 3213509820 21 460533 6733389385 4
北海道 根室市 314041 4957077467 12 413575 6589106736 5
鹿児島県 南さつま市 103996 2238652300 28 254344 4644199400 8
山形県 寒河江市 157591 3510647000 18 204666 4423409500 9
新潟県 燕市 70013 1684130000 51 131513 4237202000 10

ふるさと納税の実態

それでもなお歪な実態はあった。

あなたが生活する基盤を置くとその地区自治体にいろいろごやっかいになることになる。

例えば朝起きた時に水道の蛇口をひねる。顔を洗う。

朝食をとる。食材の余分を棄てる。

働く人は出勤する。

小学校、中学校で学ぶ。

勤労の後帰宅する。

行動には自治体の各部署にお世話になっている。

水道局、環境局(ゴミ収集)、通勤経路の県道市道担当は土木局、暗くなれば道路の照明が点く。

駅の花壇のお世話も自治体かもしれない。

治安を守るのは都道府県警察になる。

直接手数をかけるのは住民票や戸籍抄本の請求。

身体の不調で倒れれば救急車を依頼する。

すべてに住民税が関わってくる。

つまりふるさと納税はふるさと納税額(-2000円)分税金を支払わずに上記サービスだけ受ける、ということになる。

今のふるさと納税で、10万円の寄付をした場合2万8千円の特産品が入手でき9万8千円の控除が受けられる。

(住んでいる市への翌年度住民税9万8千円がふるさと納税した市へ「移管」される)

ふるさと納税高額受入市町村

まずは2018年の数字を再掲

2018年ふるさと納税 件あたり高額受入
順位 市町村名 件数 2018年受入額 受入額/件 関連サイト
単位 円
1 吹田市 21 149,846,000 7,135,524 吹田市返礼品一覧
2 練馬区 31 142,126,000 4,584,710 東京都練馬区の自治体情報
3 沖縄県北大東村 9 20,395,000 2,266,111 古来の伝説 うふあがり島 北大東
4 茨城県阿見町 8 10,350,000 1,293,750 茨城県阿見町ホームページ
5 東京都八丈町 82 103,009,000 1,256,207 ふるさと納税「八丈応援団」
6 武蔵野市 9 10,357,000 1,150,778 東京都武蔵野市|わが街ふるさと納税
7 江戸川区 34 35,815,000 1,053,382 江戸川区ホームページ
8 軽井沢町 415 370,204,000 892,058 さわやか軽井沢ふるさと寄附金
9 神奈川県川崎市 279 204,780,000 733,979 神奈川県川崎市のふるさと納税
10 調布市 365 230,233,000 630,775 ふるさと納税(寄附) | 調布市
平均 186,132,021 20,811 *市町村単位の平均 *件数平均 

ちなみに1位の吹田市については2018年度個人から1億円の遺贈があったそうだ。

そして2019年高額受入市町村

2019年ふるさと納税 件あたり高額受入
順位 市町村 件数 2019年受入額 受入額/件 関連サイト
単位円
1 東京都新島村 3 10,310,000 3,436,667 東京都新島村ホームページ
2 東京都江戸川区 36 67,261,570 1,868,377 江戸川区ホームページ
3 神奈川県座間市 34 63,411,849 1,865,054 東京都座間市ホームページ
4 東京都渋谷区 8 14,834,169 1,854,271 東京都渋谷区ホームページ
5 青森県外ヶ浜町 142 203,970,264 1,436,410 外ヶ浜町ふるさと納税返礼品
6 大阪府吹田市 46 59,028,653 1,283,232 吹田市ふるさと納税返礼品
7 沖縄県粟国村 9 10,260,000 1,140,000 粟国村ふるさと納税申込表
8 東京都清瀬市 102 102,143,767 1,001,409 清瀬市ふるさと納税返礼品
9 東京都八丈町 108 104,190,000 964,722 東京都八丈町ふるさと納税返礼品
10 長野県軽井沢町 464 384,673,000 829,037 軽井沢町ふるさと納税について
平均 276,600,360 22,077 *市町村単位の平均 *件数平均 

1位新島村は返礼品がないにも関わらず2019年の台風による被害への寄付が多かった。

地方自治体予算とふるさと納税

次に各市町村の全体予算と比べてみよう。

下記は予算比で上位から10位までを算出した。 

まず2018年

2018年予算比でみたふるさと納税受入の多い自治体
都道府県 市町村 受入金額 予算比 自治体予算
和歌山県 高野町 196億37,06万7千円 84.45% 232億5300万円
静岡県 小山町 250億62,97万2千円 67.36% 372億500万円
和歌山県 北山村 14億3281万5千円 49.65% 28億8600万円
福岡県 上毛町 37億157万3千円 41.95% 88億2300万円
和歌山県 湯浅町 50億3797万5千円 40.52% 124億3300万円
佐賀県 みやき町 168億3383万5千円 39.55% 425億6400万円
岐阜県 七宗町 37億6908万1千円 39.16% 96億2500万円
大阪府 泉佐野市 497億5290万6千円 36.18% 1375億1300万円
大阪府 熊取町 76億4042万7千円 35.75% 213億7100万円
宮崎県 都農町 96億2697万7千円 35.54% 270億8700万円

和歌山県高野町はなんと町の予算総額の84%をふるさと納税で受け入れている。

続いて静岡県小山町と続く。

話題になった大阪府泉佐野市は36%となっている。

そして2019年はどうか

2019年予算比でみたふるさと納税受入の多い自治体
都道府県 市町 受入寄付 予算比 自治体予算
北海道 白糠町 67億3338万9385円 59.6% 112億9865万7千円
北海道 紋別市 77億3769万4959円 39.1% 197億8636万円
佐賀県 上峰町 46億7214万4855円 32.2% 145億1482万3千円
鹿児島県 大崎町 28億4110万4130円 28.1% 101億2550万7千円
北海道 根室市 65億8910万6736円 27.9% 235億9720万8千円
和歌山県 有田市 35億8910万5000円 26.2% 134億1883万4千円
愛知県 幸田町 38億4967万4505円 23.6% 161億6389万9千円
熊本県 玉東町 9億1713万9200円 22.7% 40億3758万9千円
鹿児島県 枕崎市 27億4180万1204円 22.3% 122億8519万1千円
和歌山県 湯浅町 27億1757万7466円 22.2% 122億3922万1千円

最も多い北海道白糠町は予算の6割をふるさと納税で稼ぎ出している。

そして自治体では居住する住民から税を徴収する。その住民税とふるさと納税を比べてみた。

(総務省による全国自治体住民税の資料発表は最新が2018年度分まで)

2018年住民税比でみたふるさと納税受入の多い自治体
都道府県 市区町村 住民税比 受入寄付額 住民税予算
単位円
北海道 白糠町 1837.0% 6,733,389,385 366,550,000
宮崎県 都農町 1515.8% 5,208,339,194 343,613,000
和歌山県 北山村 969.8% 179,703,000 18,529,000
北海道 寿都町 913.5% 1,113,075,000 121,853,000
佐賀県 上峰町 820.3% 4,672,144,855 569,570,000
北海道 北竜町 774.6% 548,623,286 70,826,000
北海道 紋別市 570.9% 7,737,694,959 1,355,430,000
和歌山県 湯浅町 567.5% 2,717,577,466 478,849,000
熊本県 南小国町 554.9% 747,686,998 134,747,000
熊本県 玉東町 548.5% 917,139,200 167,214,000

白糠町の場合、住民から受ける住民税は3億6655万円

一方ふるさと納税で受ける寄付は67億3338万円、18倍ほどの金額となる。

まともに町民から納税を受ける以上に、町外から公共サービスを提供する必要がない「税」を受ける実態となっている。

表の上から4番目、北海道寿都町のみなさん、核廃棄 物原発から出る高レベル放射性廃棄物の受け入れをしなくても全国の市民が応援していますよ。

 

本来「ふるさと納税」制度は2007年5月の菅総務大臣の問題提起から始まった。

「多くの国民が、地方のふるさとで生まれ、教育を受け、育ち、進学や就職を機 に都会に出て、そこで納税をする。その結果、都会の地方団体は税収を得るが、 彼らを育んだ「ふるさと」の地方団体には税収はない。

 そこで、今は都会に住んでいでも、自分を育んでくれたふるさと自治体に、 自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」

と いう問題提起である。

そして「ふるさと納税」研究会なるものが立ち上げられ寄付や税についての研究が始まった。

「ふるさと納税」の意義総括
1「ふるさと納税」の意義
「ふるさと納税」論議は、2007(平成19)年5月の総務大臣の問題提起から始まった。
多くの国民が、地方のふるさとで生まれ、教育を受け、育ち、進学や就職を機に都会に出て、そこで納税をする。
その結果、都会の地方団体は税収を得るが、彼らを育んだ「ふるさと」の地方団体には税収はない。
 そこで、今は都会に住んでいでも、自分を育んでくれたrふるさと」自治体に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか、という問題提起である。
この議論は、国民各層に大きな反響を呼んだ。
お世話になった「ふるさと」にできれば恩返しをしたいという多くの人々の心の琴線に触れたのだろう。
 多くの人々の共感が、様々な形で表明され、メディアでも頻繁に報道された。
一方で、こうした思いを税制として形にすることの理論的、制度的、技術的困難さも多くの関係者から指摘された。
さらに、大都市部の首長からは、「ふるさと納税」分だけ税が減収になるとして反論の声もあがった。
これら様々な観点から、「ふるさと納税」は国民の一大関心事になったのである。「ふるさと納税」が国民の大きな関心を呼んだことには、少なくとも三つの大きな意義がある。
第一は、納税者の選択である。税は国や地方の行政サービスを賄い国民の生活を支えるために不可欠である。
納税者にとって税を払わなくて済めばそれに越したことはないが、それでは、国も地方も立ち行かない。
そこで、厳格で公正な税制のもとで、国民は義務として税を負担することになっている。
したがって、税制は一度決まれば、国及び地方団体が課税権に基づき強制的に徴税する。
これが近代社会での伝統的な税制である。
「ふるさと納税」はこれに対して、たとえ納税分の一部であっても、納税者が自分の意思で、納税対象を選択できるという道を拓くものであり、それが実現すれば、税制上そして税理論上、まさに画期的な歴史的意義をもつものといえる。
自分の意志で納税先を選択するとき、納税者はあらためて、税というものの意味と意義に思いをいたすであろうし、それこそは、国民にとって税を自分のこととして考え、納税の大切さを自覚する貴重な機会となる。
第二は、「ふるさと」の大切さである。
自分を育んでくれた「ふるさと」は誰にとっても親のようにかけがえのないものである。
地方で生まれ育ち、地方を’ふるさと’とする人々は多いが、現在の日本列島では、健全な国士と国民生活を支えるうえで、地方の果たしている役割は極めて大きい。
人材を養育することのほかにも、都会に食料を供給し、森林や河川など貴重な自然環境を維持しているのも地方である。
その地方が疲弊すれば、都会の繁栄も成り立たない。
「ふるさと納税」を通じて多くの人々は、こうした「ふるさと」の大切さ、自分達の生活を支えてくれている自然の恵みへの感謝、そして育んでくれた人々への恩返しの思いをあらたにするに違いない。
それこそは、美しい郷土を愛し、育ててくれた「ふるさと」の恩に感謝する本来の人間性への回帰の貴重な契機となる。
また、出生地や過去の居住地に限らず、いわゆる「二地域居住」を行っている地域に貢献したいと考える人、ボランティア活動などを通じて縁のできた地域などを応援したいと考える人も増えてきている。
「ふるさと納税」の導入により、このようないわば「未来志向でふるさとを考える人々」にとっても、自分が応援する地域に貢献したいという真摯な思いを実現することが可能になり、それが豊かで環境にやさしい地方を育てることにもつながっていくのである。
第三に、自治意識の進化である。
「ふるさと納税」が実現すれば、「納税」を受けたい全国各地の地方団体は、その出身者や関心を持ってくれそうな多くの人々に、その魅力をおおいにアピールする必要が出てくる。
「ふるさと納税」されたお金がどのように使われるのか、それによってどのような成果が期待されるのか、など効果的な情報提供の自治体間競争が刺激されるだろう。
この切磋琢磨は、「ふるさと」の地方団体と住民に、納税をしてもらうに相応しい地域のあり方をあらためて考えてもらう貴重な機会となるだろう。
地方自治は民主主義の学校と言われるが、地方自治の根幹を支える個人住民税の世界に「ふるさと納税」を導入することは、地域の地方団体にとって、自らの自治のあり方を問い、進化させる重要な契機になるはずである。
さらに、「ふるさと納税」の実現により、納税者と地方自治体との間に新たな関係が生まれることが期待される。
地方団体においては、その団体を応援し、見守ってくれている納税者が全国各地に存在することを認識し、「ふるさと納税」により得られた収入を納税者の「志」に応えられる施策に活かしていくことを通じて、その地域が活性化し、内発的発展が促されることが期待される。
また、納税者についても、「ふるさと納税」を行うことを通じて、地方行政に対する関心、参加意識が高まり、「ふるさと」の地方団体とともに成長していくことが期待される。
このように、「ふるさと納税」によって、納税者と地方団体の間にいわば「相互に高め合う」新しい関係が生まれるのである。
なお、「ふるさと納税」が地方団体間の税収格差の是正に資するとの期待もあるが、「ふるさと納税」については、国民が「ふるさと」の大切さを再認識することに役立つという意義が重要である。
このような「ふるさと納税」の意義が地方自治関係者間で深く理解されれば、立場の違いによるお互いの利害を乗り越えた、地方自治全体にとって大きな意義を有する新たな制度の構築が可能となるはずである。
関係者間の理解を求めるためのたゆまぬ努力が必要である。
2.わかりやすく、使いやすい仕組みを目指して
このように大きな意義のある「ふるさと納税」構想だが、それを制度化し、設計する上で、最も大切なことは、国民にとって、わかりやすく、使いやすい仕組みとなることである。
本研究会では、そのために、幅広くあらゆる問題を視野に入れて検討・吟味し、様々な制約条件の下で、最もわかりやすく、使いやすい仕組みの方向性をとりまとめた。
詳しくは本論において説明するが、ここでは、研究会の検討と報告の要点を紹介しておきたい。
(1)「ふるさと」の概念
「ふるさと」はすべての人々にとって存在するが、出生地なのか、養育地なのか、といった点を納税の条件として厳密に証明することは必ずしも容易ではない。
それ以上に、納税者がどこを「ふるさと」と考えるか、その意思を尊重することが「ふるさと納税」の思想上、より重要との見地に立ち、納税者が選択するところを「ふるさと」と認める広い観点をとることとした。
(2)寄附金税制の進化
「ふるさと納税」をあくまで「税」の分割として考えると、そこには多くの、理論的、制度的障害が横たわる。
税は法律によって徴税当局に課税権が保障されるが、居住地以外の地方団体に強制性を伴う課税権を認めることは難しく、また、個人住民税として考える場合、受益と負担の原則に反するなど理論的に困難な問題がある。
一方、寄附金税制を応用し、進化させれば、これらの問題をクリアセきるだけでなく、納税者が「ふるさと」に貢献したいという「ふるさと納税」本来の趣旨を円滑に実現することができる。
なお、制度の具体的な検討に当たっては、納税者の負担が極力増加しないよう配慮することとする。
(3)国が果たすべき役割
「ふるさと納税」は、個人住民税の移転の問題であり、国税である所得税とは切り離して議論すぺきという考え方がある。
しかし、「ふるさと納税」は、地方団体のみならず国にとっても大きな意義を有しており、本来であれば、この意義は地方団体のみならず国も自らの国土政策を通じて達成すべきものであることから、「ふるさと納税」制度を構築するに当たっては、国も相当程度の役割を担うことが望ましい。
また、国の財致が地方財致と並ぶ車の両輪であることに鑑みれば、国も応分の負担をすることが望ましい。
このため、「ふるさと納税」については、国と地方がそれぞれ一定の役割を果たすこととし、所得税と個人住民税双方を対象とする仕組みとすることが適当である。本研究会においては、このような考え方を基本としつつ、所得税における寄付金税制のあり方について、現行制度を維持することとされた場合においても、「ふるさと納税」を実現できるよう、所得税の現行制度を前提とした個人住民税における「ふるさと納税」制度のあり方も十分に吟味することとした。
(4)個人住民税の税額控除と手続の簡素化
現行の寄附金税制では、地方団体に対する寄附金が所得控除の対象とされており、寄附金額に税率を乗じた額の軽減措置が受けられるが、税額控除の方が納税者にはわかりやすく、貢献意欲も湧くので、「ふるさと納税」においては、税額控除方式をとることとし、所得税との関係を踏まえつつ、税額控除の割合は全額とする。
ただし、控除適用額については、個人住民税における納税者間の公平性の観点にも配慮し、個人住民税所得割の税額の1割の上限を設けるとともに、事務が過度に煩雑になることを避け、寄附者の「志」を活かすという観点から、5千円の下限を設ける。
また寄附申請と税額控除を受けるまでの納税者の手続をできるだけ簡素化する工夫をする。
(5)寄附を受ける地方団体の説明努力
寄附を受ける地方団体は、寄附の使い途を明らかにし、それがどのような成果につながるのか説明することが求められる。
これは法令で規制すべき性質のものではないが、各地方団体においては、透明でわかりやすい自治を推進する必要がある。
本研究会では、以上のような方向で、「ふるさと納税」の趣旨を実現できる最もわかりやすく、使いやすい仕組みを報告する。この報告を踏まえて、政府部内、税制調査会等における議論が進められ、制度の細部にわたる検討が行われて、国民が利用しやすい仕組みがづくられ、多くの人々が、より容易に「ふるさと」にその熱い思いを託せるようになることを願うものである。

総務省 ふるさと納税研究会報告書 より

赤字部分

多くの国民が、地方のふるさとで生まれ、教育を受け、育ち、進学や就職を機に都会に出て、そこで納税をする。
その結果、都会の地方団体は税収を得るが、彼らを育んだ「ふるさと」の地方団体には税収はない

には少し異なる視点を持つ。

「多くの国民が、地方のふるさとで生まれ、教育を受け、育」つが家庭として税を払っている上に、教育環境の予算は6割が市町村負担、4割が市町村以外の負担となっている。

また彼らを育んだ「ふるさと」の地方団体には税収はないというなら、税額控除を受けるだけで充分ではないか。
税額控除を受けた上に返礼品を貰えるという今の制度は改善の余地が大いにある。

ふるさと納税払出の多い自治体 単位千円
自治体名 市民税総額 控除割合 ふるさと納税額
横浜市 352,647,686 4.10% 14,465,865
名古屋市 226,993,064 3.79% 8,592,157
大阪市 268,821,828 2.66% 7,146,496
川崎市 142,197,144 4.48% 6,370,609
世田谷区 114,626,040 4.30% 4,931,196
神戸市 119,014,812 3.63% 4,325,855
さいたま市 115,947,968 3.54% 4,110,174
京都市 107,470,565 3.77% 4,050,884
福岡市 131,625,330 3.05% 4,008,970
札幌市 128,254,363 3.05% 3,909,087

今回発表された2019年度ふるさと納税受入額と2020年度の住民税控除額、一件あたりの平均金額(発表は個人単位ではなく件数)は22,038円となった。

ふるさと納税一人当たりを計算すると高額順に50位までは以下になる。

(この表は自治体へ控除用に届け出たふるさと納税額なので人数が掲載されている)

2019年高額ふるさと納税者の多い自治体
都道府県 市町村 人数 寄付額 金額/人
単位円
千葉県 長南町 71 50,494,800 711,194
北海道 安平町 95 52,464,750 552,261
青森県 鶴田町 51 26,088,298 511,535
徳島県 那賀町 38 18,080,900 475,813
沖縄県 粟国村 4 1,823,000 455,750
北海道 新篠津村 27 10,985,500 406,870
茨城県 行方市 327 120,115,750 367,326
山梨県 鳴沢村 68 23,479,000 345,279
福島県 鮫川村 4 1,342,000 335,500
岡山県 鏡野町 216 70,221,700 325,100
東京都 港区 26471 7,681,142,121 290,172
北海道 清里町 20 5,426,000 271,300
青森県 野辺地町 64 16,859,000 263,422
東京都 渋谷区 20974 5,385,009,891 256,747
東京都 千代田区 9053 2,282,601,498 252,138
沖縄県 多良間村 2 500,000 250,000
奈良県 川上村 8 1,913,250 239,156
山梨県 忍野村 711 164,920,750 231,956
大分県 姫島村 9 1,919,000 213,222
兵庫県 芦屋市 6771 1,432,940,665 211,629
福島県 平田村 16 3,292,000 205,750
北海道 木古内町 22 4,451,000 202,318
北海道 中川町 6 1,200,000 200,000
長野県 軽井沢町 573 114,147,590 199,210
岩手県 葛巻町 14 2,766,000 197,571
長野県 南木曽町 27 5,325,040 197,224
岐阜県 七宗町 57 11,112,600 194,958
山口県 長門市 300 58,358,148 194,527
山梨県 山中湖村 127 24,068,600 189,517
東京都 目黒区 25341 4,697,626,982 185,377
鹿児島県 長島町 36 6,516,000 181,000
東京都 中央区 19842 3,567,347,831 179,788
北海道 訓子府町 44 7,898,446 179,510
岩手県 普代村 6 1,065,804 177,634
新潟県 三条市 1176 206,396,714 175,507
北海道 斜里町 139 23,986,950 172,568
北海道 浦河町 211 36,340,800 172,231
山形県 村山市 173 29,092,000 168,162
東京都 世田谷区 62211 10,402,357,000 167,211
千葉県 千葉市 37932 6,336,599,000 167,052
福島県 双葉町 21 3,499,000 166,619
北海道 豊頃町 57 9,385,700 164,661
神奈川県 葉山町 1328 218,551,685 164,572
東京都 文京区 20953 3,415,133,181 162,990
長崎県 対馬市 242 39,034,100 161,298
東京都 新宿区 26001 4,167,274,070 160,274
北海道 洞爺湖町 93 14,686,850 157,923
高知県 仁淀川町 21 3,295,500 156,929
青森県 外ヶ浜町 10 1,543,500 154,350
東京都 武蔵野市 10332 1,594,604,029 154,336
北海道 札幌市 62606 6,573,203,288 104,993

現菅義偉総理は自身が決めたことを変更する気は無いようなので、ふるさと納税の改善は今後も期待薄だ。

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