鉄道にも業種がある。
鉄道事業法には鉄道事業を 「第一種鉄道事業」「第二種鉄道事業」「第三種鉄道事業」 に分類している。
そして第三種鉄道事業とは「鉄道路線を敷設して当該鉄道線路を第二種鉄道事業を経営する者に専ら使用させる事業」と定義している。
直通運輸(連絡運輸)
JRと民間鉄道やJR同士の直通運輸(連絡運輸)は以下のような形態で行われている。
一橋大学鉄道研究会資料より
直通運輸か連絡運輸か
鉄道事業法第十八条には「連絡運輸」「直通運輸」という言葉が使われている。
鉄道事業法でいう、直通運輸・連絡運輸の解釈は、
「直通運輸」 鉄道会社同士が乗り入れする場合
「連絡運輸」 運輸事業者が連絡をとりながら運行 定期を1枚で発行等も含む
となるようだ。しかし
ようだ。
連絡運輸の実体
そこで連絡運輸の実体はどうか。
JR東海からメールで返事をいただいた。
「ご意見の中にもあります通り、一部弊社の列車が他社エリアに乗り入れを行っておりますが、事業はそのエリアを管理する会社が行っております。 そのため、米原~金沢間や新宮~紀伊勝浦間の事業はJR西日本が行っておりますので、上記区間での弊社の第二種鉄道事業者としての登録はございません。」
つまり車両を借用し運行する。
乗務員は境界駅で交代する。
この方式を「連絡運輸」と総称しているのだ。
片方向乗り入れ=直通運輸
まず下記北海道の例
道南いさりび鉄道区間(木古内駅-五稜郭駅)は道南いさりび鉄道だけが走っている。
そして路線所有は道南いさりび鉄道だ。
JR北海道函館線と記したエリア(函館駅-五稜郭駅)は路線所有はJR北海道で、その上をJR北海道の車両と道南いさりび鉄道の車両が走っている。
つまり片方向乗り入れとなる。
区間 | 路線施設所有 | 鉄道運行会社 | 鉄道事業 | ||
木古内駅- 五稜郭駅 |
道南いさりび鉄道 | 道南いさりび鉄道 | 道南いさりび鉄道 | 第一種鉄道事業 | |
五稜郭駅- 函館駅 |
JR北海道 | JR北海道・ 道南いさりび鉄道 |
道南いさりび鉄道 | JR北海道 第一種鉄道事業 |
「直通運輸」 |
*
第三種鉄道事業
次に能登半島の例
2000年4月にのと鉄道七尾線(輪島駅-穴水駅)が廃止となり、2004年4月に同じく能登線が廃止になった。
これによりのと鉄道所有の路線は無くなった。
そして現在JR西日本所有路線である七尾線一部区間(穴水駅-七尾駅)に、のと鉄道の車両が走っている。
この和倉温泉駅から穴水駅までは非電化区間で、JR西日本の車両も特急だけが和倉温泉駅まで乗り入れを行っている。
この部分はJR西日本所有として残り第三種鉄道事業となっている。
のと鉄道HPに下記記載がある。
上記ならすんなり行くところだが、JR西日本のHPには下記記載がある。
のと鉄道HPでは
「第二種鉄道事業を七尾-穴水間で行っている」
となっている。
JR西日本HPでは
「第三種鉄道事業 七尾線([和倉温泉-穴水間])」
となっている。
ここでは第三種鉄道事業の定義「鉄道路線を敷設して当該鉄道線路を第二種鉄道事業を経営する者に専ら使用させる事業」に当てはめると、和倉温泉駅-七尾駅間が宙に浮く。
区間 |
路線施設所有 | 鉄道運行会社 | 鉄道事業 | |
穴水駅- 和倉温泉駅 |
JR西日本 | のと鉄道 | のと鉄道第二種 鉄道事業区間 |
JR西日本第三種 鉄道事業区間 |
和倉温泉駅- 七尾駅 |
JR西日本 | JR西日本 | 第一種鉄道事業 |
のと鉄道第二種鉄道事業区間は「穴水駅」から「和倉温泉駅」までで、和倉温泉駅から七尾駅間は直通運輸(一般的には連絡運輸)ということが正しいのではないか。
鉄道事業の各形態
第三セクターとJRに関して第二種・第三種鉄道事業・直通運輸・連絡運輸についてまとめると。
事業形態 | 第三種鉄道事業 | 連絡運輸 | 直通運輸 | ||
第二種鉄道事業 | 第一種鉄道事業 | 青春 18 きっぷ |
|||
路線 | 有 | 有 | 他社第三 | JR | |
車両 | 無 | 有 | 有 | ||
職員 交代 |
無 | 有 | 無 | ||
列車 運行 |
無 | 有 | JR | 第三 | |
例 | 青森県 | 本四備讃線 | JR四国 | × | |
青い森鉄道 | 若井-窪川 | ||||
JR西日本 | のと鉄道 | ×注 | |||
のと鉄道 | 和倉-穴水 | ||||
のと鉄道 | 〇 | ||||
七尾-和倉 | |||||
紀勢線 | 道南いさりび鉄道 | 〇 | |||
新宮-紀伊勝浦 | 函館-五稜郭 | ||||
北陸線 | しなの鉄道 | 〇 | |||
米原-金沢 | 長野-篠ノ井 | ||||
しなの鉄道 | × | ||||
長野-豊野 |
*
「直通運輸」に関していえば青春18きっぷの使用可か否かは、保線費用が念頭にあるのだろう、路線がJR所有か否かで判断しているのではないか。
注 この区間上記ならば青春18きっぷ使用可能と思われるが、のと鉄道和倉駅、穴水駅間はのと鉄道単独運行区間としてあえて不可としている。
(青春18きっぷ配分金が繰り入れられないのだ)
REMEMBER3.11