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タテカンで余波その1 景観政策

京都市景観条例:京都の各地域設定における経過要素

下図は京都市が策定した「京都の各地域における経過要素」という京都市の景観計画を設定した時の資料の中の図である。
この区分けが景観行政における基礎的位置の図となっている。

中央赤い下向き矢印が京都府庁付近。
この図では京都府庁と周囲で異なった要素の記載がない。

その右横に赤い左向き矢印が百万遍・京大付近である。

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京都の各地域における経過要素

そして京都市域全体の高さ規制図が下記となる。

中央赤いマル印で京都府庁、右寄り赤い四角で百万遍と京大周辺をそれぞれ書き込んだ

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京都市高度地区指定

赤い丸で囲まれた京都府庁周辺は高さ規制が31m、その南部にある「田」の字をした、御池通、堀川通、五条通、河原町通に囲まれた地区、それと京都駅付近も同じく京都市の規制による最高の高さ規制である、31mとなっている。

また京都市全体の屋外広告物規制図は以下となる。

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京都市屋外広告物規制


http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000057/57538/LandscapeofKyoto_03-6.7.pdf

同じく中央付近、赤い四角が「京都府庁」、右寄りの赤い四角が「百万遍京大」区域

この図でも「京都府庁」はポツンと第4種の規制になっている。

最初の「京都の各地域における経過要素」図では特に京都府庁近辺の特定地域指定はなかった。

 

次に京都府庁と百万遍・京大地区の高度規制を見てみる。

京都市景観条例:京都府庁31m規制

以下の図は京都市の景観規制図・高さ規制の部分である。

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ピンク色の部分は京都府庁を含む地区で全体を「府庁地区官庁街地区」としている。

この地区の高さ規制は31mとなっている。

京都府庁はすぐ横に御所(下記空撮で右端にある緑の森)がある。

そして上図でピンク色の外周となる黄色部分は、御所との間も含め、高さ規制15mである。

こちらの区域を空撮したのが以下(GoogleEarthより)

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GoogleEarthより

京都府庁以外に高い建物は多くない。左端に走る道路は堀川通で堀川通の沿道30mまでの地区の高さ規制は20mとなっている。

京都市景観条例:百万遍20m規制

いっぽう下記は百万遍を中心とした、左京区の景観規制図・高さ規制の部分

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京都大学敷地内は高さ規制は20m、今出川通沿道25m以内も高さ規制20mとなっている。

そして以下が京都大学を中心にした空撮

中央から右上寄りにある京都大学以外には、写真左端に3棟高い建物があるが、高い建物はほぼない。

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GoogleEarthより

写真右側は吉田山。さらにその東に東山山系が広がる。

続いて京都府庁と百万遍・京大地区屋外広告物規制図を見てみる。

京都市景観条例:京都府庁第4種地域

以下は同じく京都府府庁地区の屋外広告物規制 こちらでも京都府庁全体が第4種となって周囲の第3種とはことなった区域となっている。

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京都市景観条例:京都大学沿道2種地域・第2種地域

そして以下が問題の百万遍付近の屋外広告物規制

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タテカンのメイン百万遍交差点は「沿道2種」、そこから南に行くとすぐ規制の厳しい「2種」に変化する。京都大学の敷地内は第2種の区域となっている。

ところが「京都市高度地区指定」と「屋外広告物規制」になると京都府庁は周囲とはことなる地区指定となる。

この規制の意味を考えてみよう。下図がその規制「第2種」「沿道第2種」「第4種」の規制概略である。(上記図の京都大学西部構内一帯は第3種区域の規制となる。掲載していないが、沿道2種と第4種の間の規制になる)

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この地区でいうと、「第2種」「沿道第2種」「第4種」と順に規制が緩やかになっている。

「立て看板」については各地区で2m平方と差はないが、主に「のぼり」や看板についての面積に差がもうけられている。

京都府庁は、高さ規制において第2種住居地域の中にポツンと商業地域としての規制を受けている。

また屋外広告物規制においても御所との間の「歴史2種」そして近隣地区の「第3種」の中にポツンと「第4種」規制を受けている。

これから読み取れるものは、京都市がなぜか「京都府庁」を意識しているということではないだろうか。

京都市の景観計画を立案するについて、「京都府庁」を意識しなければならなかった。

景観計画の立案でも京都府庁だけは特別と考えざるを得なかった、という推理ができる。

高さ規制・屋外広告物いずれについても京大・百万遍地域よりも京都府庁を軽度の規制区域としているのだ。

この結果から読み取れるものは、タテカンや屋外広告物は京大よりも京都府庁で多く立てられるべきと意識されているものらしい。 

つまり、表現の自由は百万遍・京大地区よりも、京都府庁敷地で大いに発揮されなければならないということだ。

京都府庁職員の皆さん、表現の自由のために「知事の許可」を仰いで、おおいに屋外広告物を設置しましょう、なんていってもやるわけないし。

参照 京都市景観情報共有システム

 

REMEMBER3.11