紙つぶて 細く永く

2014年6月以前の記事は旧Blog(OCN)からinportしたものそのままです。鋭意改善中です。<(_ _)>

中央食堂観察記

大学本部構内中央には生協の食堂そして、同じく西地区に西部食堂がある。中央食堂は昨年8月から改修工事で営業休止である。話は、その(改修前)中央食堂の観察記録である。

中央食堂は大学本部構内の丁度中央であるが、建物の地下にありあまり目立つ所ではない。大学に通うようになっても、1年くらいは存在を知らないという学生も多々いる。
入り口は西に面して大きな車用のスロープ脇から入る入り口と、人間が2人並ぶと狭いくらいの階段を下りる入り口の2ヶ所である。どちらもメインと思えないような遠慮した入り口である。
看板は狭い階段の前にこれも遠慮したように規模にはあわない小さな看板が置いてある。それゆえに件の学生もその存在を知らなかったのであろう。

一応大きな車のスロープ入り口から食堂に入ると、目の前にショウケースが並んでいる。往年のデパート食堂にあったような大振りなショウケースに例によって各メニューのサンプル品。周囲を見渡すと、人数に備えて多くの手洗いがあり、壊れているのか映像をみたことがないテレビが1台壁にぶら下がっている。なぜか電子レンジはごくありふれた家庭用のものがこれも1台。トイレはない。
この食堂では昼の時間を中心に千人以上の利用客に食事を提供している。その利用者の多くは、ショウケースを見なくてもほぼ本日のとるべき昼食メニューは決まっているようである。ショウケースはチラッとみるだけで、奥にある各献立ごとのコーナーに進む。カレーから麺類、丼そしてごはん・味噌汁、さらには各種定食や洋食、季節の特別メニュー等種類はかなり豊富である。
マンネリを防ぐことからか、各種催し物、例えば「7大学対抗戦」(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州の各大学対抗スポーツ交流戦)の時期には各大学生協食堂の人気メニューや、松茸!の時期には松茸飯、冬になると一人用鍋料理が並んだりする。
やけに元気とも思えるコーナーのおばちゃんが慣れた手つきで食事を盛ってくれる。
さすがに大学である整然と並び言葉少なく食事を受け取る姿は使い慣れた食堂である。
しかしである、如何せん悲しいことに食事を提供する人と、受け取る人の間に当然金銭のやりとりがない。カフェテリア方式での集中レジ、また近年電子マネーが導入され一層現金の支払いがなくなった。
「私は仕事で食事を盛り付けているだけですよ」という気持ちと、
「盛り付けてくれているけど、まだ金は払ってないし」という気持ちがすれ違いを起こす。
また大勢が並ぶことにより後ろからの圧力で対話の時間が求められない。
少々の問題は黙認せざるを得ない。(ま、あとで生協へ投稿しとこ)

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食卓は4人用のテーブルを中心に8人がけのテーブルが多数並ぶ。満席になれば壮観である。かくも大勢が黙々と食事を摂り続ける。日本の知性が一斉に食事をとるのである。中に、研究室からかグループで食事をする一団もいる。侃々諤々研究課題であろうか議論が沸騰している。
別のところには事務部署からのメンバーが額を寄せ合って麺をすすっている。
学生は若い。体育系であろうか、定食を2セット頬張っている猛者がいる。
ご飯持参でおかずのみを注文している健全派、しかし中にはライスの大(これは一般食堂の比ではない本当に丼一杯である)と鯖の味噌煮(まさしくこれ)だけで食事を済ますものもいる。
そして特に気になるのは教授を筆頭に箸を持たずに4,5人のメンバーが揃い各自の食事が整うのを待っている一団である。だれしも揃うまでは手出しをしない。椅子の座り方も順位が決まっているのであろうか。女性を含めしばし時間の経過があり揃ったところで、全員一斉に掌を合わせ「いただきます」
こちらも本日の研究テーマに話が及ぶ。さすがに口角泡を飛ばす様子はない。少し時間をかけ一応の議論終息を待つ。

名物となった、「おじさん」をよく見かける。12時半ころから2時を回ってもゆっくりと食事をとり、終えたあとも急ぐ様子なくのんびりと過ごす。年のころは60才台か、古いボストンバッグをぶら下げどこへともなく立ち去る。
中央食堂が改修になってからは、西部食堂によく現れる。しかし中央食堂とちがって心なしか少し居場所が悪いようだ。出現頻度が少なくなった。
地下にある中央食堂とちがい、西部食堂は2階にある。人間の心理として「底に沈む」のと「階段を上がる」力学が異なる空間となり、集まる人間も変わるようだ。中央食堂は仲間の語らいを良く見かけるし、西部食堂は個性的だ。
西部食堂は大学本部棟から近いこともあり時折総長を見かける。ふらっと現れてこちらは早々に立ち去る。でも、総長専用車に乗っているときとは違いごく自然な研究者の振る舞いである。
付近にクラブハウスがあることもあって、利用者は学生が主体だ。
またこちらの名物は、隣にある外国施設のメンバーである。さすがに欧州とあって個性豊かな面々である。これも西部食堂が個性的である一因だろう。
白髪の長髪をたなびかせピンクのセーターでサングラス颯爽と歩く姿は何かフランス映画の一場面でも見ているようである。

中央食堂が改修に入り、本部構内から西部食堂に流れてくる利用者も多分多くいるのだろうが、西部食堂では中央食堂の雰囲気は醸し出せない。中央食堂は地下で天上が高く、照明のあかりもなかなかテーブルまでは届かない。
そう暗いのである。
西部食堂は2階にあり陽光が燦々と入り明るいのである。まして建物の構造上天井が低い。天井が低くて明るい西部食堂と、暗くて天井が高く利用者を包み込むような中央食堂は印象が異なる。この春からは中央食堂の改修工事も終わり新しい顔を見せてくれるだろう。しかし何故か昔の中央食堂に懐かしい気持ちが残るのは私だけではないだろう。暖かく包み込むような雰囲気で知性に磨きをかける場をぜひ作って欲しいものだ。

 

 

REMEMBER3.11

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