紙つぶて 細く永く

「イヴァンよお前にやる花はない」プラハの花屋

時代を切り開いた巨人

知識の巨人

立花隆が亡くなった。

田名角栄研究で一躍注目を浴びた。

政治から科学技術まで知識の巨人だった。

文芸春秋の記者だったが、大学の哲学科に入り直したという(変わった?)経歴の持ち主だ。

若い時に思った、俊英という言葉はこの人のためにある、なんてことは畏れ多いことと後に思った。

知識の塊のような人で、私は特にその法律面での下記のような解釈に痛く感動を覚えた。

法律問題というのは、数学や物理の問題のように答えが必ずしも一義的に出るわけではない。
ひとつの論点について三つか四つの議論が同時になりたちうる場合すらある。
どの立場をよしとするかは見解の問題、選択の問題である。
 それぞれの論理を追っていけば、A説もB説もC説もそれなりの論理的成立基盤を持つということはいくらもありうる。
 従って法律のプロが議論していて相手の見解を「誤り」ときめつけるときは、理論的にはそういう主張が成り立ちうるとしても自分はその主張にくみしないという意味の主観的「誤り」を意味している。
一方こうした主観的「誤り」に対して、1プラス1を5としてしまうような客観的(=絶対的)「誤り」はプロ同士の議論においては極めて少ない 

科学技術

そして興味は宇宙に及ぶ。

「宇宙からの帰還」は宇宙に飛び立った飛行士たちから聞いた宇宙の神秘が描かれる。

その本の帯に下記のようなことが書かれている。

f:id:greengreengrass:20210624095935j:plain

宇宙飛行士の本音私がこれまでにしてきたさまざまな仕事の中で、この宇宙飛行士たちとのインタビュー ほど知的に刺激的であった仕事は数少ない。(略)
本書の読者は、宇宙飛行士たちが長く胸に秘めておいた本音にメッセージの世界最初の受け取り手となる。

知的好奇心

彼の興味の一端をしる本は「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」という長い名前の本

この目次は以下

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術目次
  • 宇宙樹、奇術、日本殲滅
  • オウム、ニュートン、世紀末芸術
  • 官僚腐敗、聖骸布、アラキ
  • 選民思想、穴倉酒場の狂気、道教文化
  • ハッカー、夢二、熊野信仰
  • 尊厳死、澁澤龍彦、江戸学百科全書
  • 複雑系、海の日本史、AV女優
  • ユナボマー、深海生物、男根信仰
  • 大絶滅、国家政策の闇、聖と狂の間
  • タキトゥス、役行者、虫の味
  • ソニーを食った男、ドラゴン伝説、秀吉
  • 毛沢東、宮崎勤、自殺日記
  • 女盗賊、遊牧民の神話、巣鴨日記
  • ロシア精神史、シュリーマン、スカトロ芸術
  • マクナマラ、アトランティス、娼婦の歴史
  • 立原道造、ピエール・ベール
  • 失敗学、見沢知廉、トンパ文字
  • 日本人の愚行を知る三冊
  • 奪われし未来、南京大虐殺、樋口一葉
  • 脳科学、ネアンデルタール人、安倍晴明
  • 徳川慶喜と幕末、障害者プロレス
  • 死霊、メス化する自然
  • デリバティブ、絶対音感、ブラックホール
  • 長江文明、化学物質過敏症、公安警察の闇
  • 太陽、和田移植、イロコイ族の知恵
  • 死の病原体、ゴダール、モスクワのソクラテス
  • 筑摩の倒産と再起、パン棒人生、中国怪奇譚
  • 宇宙体験、幻の航研機、子宮を食い破る異物
  • グレンの初飛行、冬虫夏草、環境毒性
  • 戦争指導班、プリンピキア、日本の理科教育
  • 二十七年前の警告、外典偽典、インドのイエス
  • ノストラダムス、アンチキリスト、ヒステリー
  • アインシュタイン、人工脳、捏造される記憶
  • 十八年の労作、原始キリスト教、M・モンロー
  • 日清戦争、Drキリコ、怪鳥ロック
  • 諜報活動、ビッグバン、幻肢症
  • 現代中国の裏面、戦艦大和、奇形
  • 日本書記、逆工場、ディオドロス
  • 先史時代、白川静、ワーグナー
  • 幕末のスパイ、ゲノム生物学、聖遺物
  • 後産、ウィトゲンシュタイン、ナスカの地上絵
  • 学力崩壊、ウパニシャッド、ニーチェ
  • 素粒子、読書史、CIAの新事実
  • 機密会話録、スリコミ、出版異常事態
  • ボノボ、湾岸戦争、赤色テロル
  • 野心的宇宙論とスコラ的議論
  • 高熱生物圏、瞬間的判断、バラード少々
  • 旧石器捏造事件、カエル、債務
  • 下層社会、出版文化、女神のさまざま

なんとも好奇心の塊みたいだ。

反知性とのたたかい

ぼくは人前で喋るということはめったにやらないんです。

(しかし)ここカルチャーセンターの初山さんが昔のぼくの担当編集者で、ぼくが「田中角栄研究」を書いた時初山さんは朝日ジャーナルのデスクだった。

それから朝日ジャーナルで一緒に仕事をするようになり、初山さんのつぎに担当になったのが、筑紫哲也さん。

結局田中の金脈問題やロッキード裁判を中心に10年以上朝日ジャーナルで仕事をした。

ロッキード裁判は何年も何年もつづいて、世間の関心が急速に失われていった。その中で朝日ジャーナルだけがとことんつきあって最後までページを提供してくれた。

悲しいかな現在も反知性とのたたかいは続く。

特に政権の政治家・忖度官僚に捧ぐ法律の世界では玉虫色は通らない。
「総理大臣である田中角栄が個人的に行った職務行為」であれば問題なく田中角栄の職務権限は成立する。
 賄賂罪の規定は公務員の「職務の公正」と「職務の公正に対する国民の信頼感」を保つためにある。
 賄賂を貰っても、職務は公正にやりましたという場合、前者の「職務の公正」は保たれても、後者の「公正に対する信頼感」は破壊される。ゆえに職務権限の行使に実効がともなっていなくても処罰されるのである。「論駁」より

 

「イヴァンよお前にやる花はない」プラハの花屋

REMEMBER3.11