紙つぶて 細く永く

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言いよどんだ説明

A「古い論文が手元にある。1965年の文芸春秋2月号に載った「日本の自殺」だ。
  保守系の学者たちが「グループ1984」の名で共同執筆。
  古代ギリシャローマ帝国も自らの繁栄に甘えて滅んだと指摘。
  日本も衆愚政治で同じ道を歩んでいると警告する刺激作だった。
  昨年まさにギリシャとイタリアの財政危機が世界の耳目を集めたのは因縁めいているが、
  果たして日本はどうだろう。」

B「家庭こそ福祉の基盤だとの考え」で「大平内閣が出した『日本型福祉社会』」
 「ブレーンのひとりは東大教授(記事のママ)の香山健一氏。福祉国家は人間の自立精神を奪うと
  批判した文芸春秋75年2月号の『日本の自殺』の中心筆者だ」
 「日本は古代ギリシャローマ帝国が欲望の肥大化による退廃で崩壊したのと同じ道を歩んでいる
  国鉄労組の荒廃、母親の子捨てや子殺し多発はその予兆。
  権利の主張と悪平等イデオロギーとする擬似民主主義は衆愚政治を招く
  自立精神を育て、大衆迎合から決別しなければならない
  など、いま読めば驚くような中身だった」

A,Bは同じ筆者の同じ論文である。
Aは新聞の1面記事、Bは分かれて掲載された新聞の11面記事である。1面記事はあきらかに言いよどんでいる。
おまけに後日訂正記事が入り「東大教授の香山健一氏は学習院大学教授の香山健一氏でした」と修正された。
その程度の取材裏付けでかかれた記事だと判断され、中身はともかく価値は半減する。

C オバマ大統領は先月、進歩的な人物の代表であるセオドア・ルーズベルト元米大統領の精神を引き合いにしながら
  演説した。これを(ルーズベルト氏の出身母体である)共和党の人たちは快く思わなかった。
  とりわけ(次期大統領候補の一人とされる)ロムニーマサチューセッツ州知事は、
 「オバマ氏は『政府は結果を平等にすべきだ』『教育や努力や、リスクをとろうとする意思にかかわらず、
  だれもが同等か、大差のない恩恵を受ける社会が望ましい』と信じているのだ」と主張した
  オバマ大統領をまるで急進的な再配分主義者であるかのように言うのは、まったくのでっちあげだ。
  たとえば共和党は、低所得の母親やその子どもに十分な栄養を提供するWICプログラムの資金を削減しようとし、
  低所得の学生を支援するペル奨学金の削減も要求した。
  そして医療保険改革の撤廃も約束する。
  だからロムニー氏や共和党が機会の平等を本当に支持しているという証拠がどこにあるのか、と聞きたいのだ。
  一連の行動から判断するに彼らは、人生の地位は両親の地位によっておおむね決まる社会を望んでいるように見える。

Cはアメリカプリンストン大学教授「ポール・クルーグマン」がニューヨークタイムズに掲載した記事の要約
こちらの歯切れのよさを学んで欲しいものだ。
ちなみにA,Bは新聞社の主筆が書いた記事である。主筆は社説を書く主要なメンバーである。
日ごろ社説の重要性を説きながら、特に若い層が社説を読まないと嘆いておられるのを耳にする。
しかし日ごろこのような記事で「お茶を濁している」とするなら、心に訴える「社説」は望むべくもない。
(社説は論説委員等の集団で決定されるようだが、各構成員の総和に調和され味も素っ気もない記事が多い
わずかに「尾崎 豊を聞け」等数少ない読ませる社説もあるが・・)