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原発被災を乗り越えて『愛国者』は進軍する

【ロンドン=橋本聡】
英紙インディペンデントは8日、東京都の石原慎太郎知事が同紙とのインタビューで、中国の脅威に対抗するため、日本は核兵器をつくるべきだとの見解を述べたと報じた。
 記事は石原氏が、日本は1年以内に核兵器を開発することができ、世界に力強いメッセージを送れるとの見方も示したとしている。
 また、石原氏の言葉を引用して「隣国である中国、北朝鮮、ロシアは核兵器を持っている。
同じ状況に置かれた国が世界にほかにあるのか?」「人々は(核開発の)費用のことなどを言うが、現実には外交交渉力は核兵器を意味する」と語ったと伝えた。
 石原氏は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を以前から批判している。
記事を書いたのは東京在住のジャーナリスト。
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選挙の最中かつ福島原発のこの時に、このインタヴューとは思い切ったことするもんだ石原氏どこかの橋下知事核武装肯定派。日本は首都と第二都市圏の首長が核武装肯定で勢ぞろい。

加藤周一夕陽妄語第一輯ー日本国内には一種の新国家主義的感情が次第に色濃く、次第に広範に瀰漫してきた。 東京中野区と墨田区で調査したところでは、 「日本人が世界でもすぐれた民族だと思う」が80%以上 「日本社会の仕組みが世界で最もすぐれたものだと思う」が70%以上あった。 (庄治興吉「準中枢国・日本の驕り」) (かっての中曽根首相が)「日本人の知的水準が、平均して、アメリカ人のそれよりも高い」といった時にけして孤立してはいなかった。 その集団的心理傾向を新国家主義とよぶとすれば、それが輪郭のはっきりした「イデオロギー」に結晶せず、特定の整合性のある政策の体系にも結びつかないのは、新国家主義の起源そのものに係る仕組みが働いているからだと私は考える。 その起源は経済大国の現実である。しかるにこの経済大国の繁栄は「国際化」と切り離して考えることができない。 国内向けに新国家主義の線で発言し、国際的に「おわび」をくり返すこと(首相)は、この国の現実を見事に要約していたといえる。 日本の近代史は、国家主義保守主義との強いつながりをつくってきた。 保守主義はその国の過去に、現在の価値や目標の根拠を求める。 アメリカの保守主義者ならば、独立革命と「Pilgrim Fathers」の過去に訴えるかもしれない。 日本の場合にはまさか徳川幕藩体制ではあるまい。つまるところ戦前1930年代・40年代の日本社会ということにならざる得ないだろう。韓国併合も、二十一か条要求も、中国侵略戦争も、南京虐殺も、あまりよい事ではなかったが、あまり悪いことでもなかった、と主張する必要が生じる。 (もちろん外国からの抗議があれば撤回するが、外国からの抗議がなければ押し通すように努める) しかし、特定の時代を指示しないで、保守主義を救う方法が全くないわけではない。 それは「文化」である。幸いにして日本国には長く持続して内容の豊富な文化的伝統がる。 「日本は素晴らしい、疑う者は、能舞台を見よ、長次郎の楽の茶碗を見よ」 日本の新国家主義が将来どういう方向へ発展するかは、それが国際化とどういう風に係るかによって決まるにちがいない。 経済の国際化が、心情の領域にも及べば、新国家主義が狭量で破壊的な「イデオロギー」に結晶する可能性は少ないだろう。 しかし、経済の合理主義が国家主義的心情と矛盾したままで結びつけば、ーそういうことは経済危機を前提としなければあり得ないだろうがー破壊的な狂信主義を生み出すかもしれない。 「テレビ」の報道番組には、にこにこ笑う、うれしそうな顔の女が出てきて、幼稚園で何がおこったか、動物園で何がどうなった、という話をする。週刊雑誌は、どこの店で何を食べるといまいかというようなことを、微にいり細を穿って書く。まるで「メディア」が全力を挙げて、日本国は万事うまくいっていると、合唱する如くに。



かくて日本は福島原発被災の障害を乗り越え核開発へまっしぐらに進軍する。