紙つぶて 細く永く

「イヴァンよお前にやる花はない」プラハの花屋

タテカンとパブリック・フォーラムと手抜き行政

パブリック・フォーラム

伊藤正巳判事がJR吉祥寺駅構内でのビラ配布が鉄道営業法違反とされた事件に関して補足意見で展開したのがパブリック・フォーラム(publicForum)論である。
「ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の場を確保することが重要な意味をもつている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現のための物理的な場所が必要となつてくる。
この場所が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといつてもよい。
一般公衆が自由に出入りできる場所は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に、表現のための場として役立つことが少なくない。
道路、公園、広場などは、その例である。
これを『パブリック・フォーラム』と呼ぶことができよう。
このパブリック・フォーラムが表現の場所として用いられるときには、所有権や、本来の利用目的のための管理権に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。
道路における集団行進についての道路交通法による規制について、警察署長は、集団行進が行われることにより一般交通の用に供せられるべき道路の機能を著しく害するものと認められ、
また、条件を付することによつてもかかる事態の発生を阻止することができないと予測される場合に限つて、許可を拒むことができるとされる(注1)のも道路のもつパブリック・フォーラムたる性質を重視するものと考えられる。
注1 (最高裁昭和56年(あ)第561号同57年11月16日第3小法廷判決・刑集36巻11号908頁参照)
 もとより、道路のような公共用物と、一般公衆が自由に出入りすることのできる場所とはいえ、私的な所有権、管理権に服するところ(注2)とは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。
(注2 大学構内はこれにあたるだろう)
しかし、後者にあつても、パブリック・フォーラムたる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と所有権、管理権とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。
本件に関連する「鉄道地」(鉄道営業法35条)についていえば、それは、法廷意見のいうように、鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域のうち、駅のフオームやホール、線路のような直接鉄道運送業務に使用されるもの及び駅前広場のようなこれと密接不可分の利用関係にあるものを指すと解される。しかし、これらのうち、例えば駅前広場のごときは、その具体的状況によつてはパブリック・フォーラムたる性質を強くもつことがありうるのであり、このような場合に、そこでのビラ配布を同条違反として処罰することは、憲法に反する疑いが強い。
このような場合には、公共用物に類似した考え方に立つて処罰できるかどうかを判断しなければならない。」
 これを要約すると、次のようにいえる。
① 街路streetおよび公園parkのような、伝統的に表現活動と結びついている公共用物は、「もっとも純粋なquintesssential」公共の広場publicforumである。そこで行われる表現活動の規制については、合憲性を厳格に検討することが求められる。
上記駅構内は、この意味で問題となるのである。また、
② 公会堂、公立劇場、公立学校講堂等のように、国ないし地方公共団体が自発的に公衆の表現活動の場として利用に供してきた公共の場所は、「指定されたdesignated」もしくは「限定されたlimited」広場として考えられなければならない。その場合、その場所の管理者は公開性を維持しなければならない、という義務を負担するものではないが、公開原則を維持する限り、上記と同様に、規制の合憲性を厳格に検討することが求められる。
 この②の場合に関して出たのが、泉佐野市市民会館事件(最判平成7年3月7日=百選第5版178頁)等である。
③ 上記のようなパブリック・フォーラムに該当しない場所では、このような厳格な合憲性の審査は要しない。例えば住宅地の私人の塀に勝手にビラを貼る行為を禁ずる法は合憲性が推定されることになる。
と論ずることになる。

怠惰な行政

新幹線と「野立て広告」との距離「野立て広告」は新幹線から100m以上300m未満と、500m以上600m未満の距離をおいて設置される事例が多い。
前者は最高時速が200kmを超える高速で移動する新幹線の乗客に対して「野立て広告」をメディアとして情報伝達するのに適した距離と推察される。
後者は岐阜県滋賀県の屋外広告物条例において、新幹線からの距離が500m未満の区域は広告物の設置が禁止されている「禁止地域」であり、条例に違反することなく新幹線に最も近い距離で広告効果をあげるためと思われる。
今回の調査では新幹線からの距離500m未満の「禁止地域」に設置されていた「野立て広告」は37基で、全体の72.5%が違反広告であることが明らかにされた。
両県の条例に適すると判断された9基の内訳は岐阜県3基、滋賀県6基である。これらが区間内に占める割合は岐阜県8%(3/39)、滋賀県50%(5/12)と大きく異なる。
両県とも規制内容は罰則規定(罰金)に差異が認められるほかはほとんど同じである。しかも罰則規定がより厳しい岐阜県において条例に適さない「野立て広告」が多く存在することは罰則規定が十分な効果を上げていないことを示す一例である。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijax/454/0/454_KJ00004077468/_pdf 日本建築学会計画系論文報告集第454号・1993年12月より
(ちょっと古いが)

これは矢面から逃げる行政の典型例である。

そして京都大学に「条例の順守」を求め、「表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要」から逃れる京都市の姿勢も矢面からの逃避である。

そのことの意味するところは、京都大学百万遍にある「タテカンプリンター」が、京都市によって撤去された段階で、当然ステージが変わるということだ。

 

「イヴァンよお前にやる花はない」プラハの花屋

REMEMBER3.11