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<近代の克服> 「転向論にかえて」第3章

今回も高山氏の論をさらに進める。

大東亜戦争は)欧米に対する後進国として出発した日本が欧米の列強に対抗する実力を養うためには
「わが国の経済は支那に対して発展し、ここに特殊権益をもつより外なかった」
しかも「この特殊権益の維持が日本の生存に重大な意味をもつものであった」
「日本の世界に対する地位から由来したこの苦衷は支那の理解するところとならなかった。
支那は遂に現代世界史を貫き来った根本趨勢に深く自覚するところがなかったのである。
・・・支那政府は、支那植民地化の法的表現たる九カ国条約を楯に、事々に欧米を動かし我が国に対抗するに至った。かくして遂に支那事変は勃発した。
東亜の安定を念願とする我が国は不拡大方針を採ったが、支那政府の容れるところならず、事変は遂に全面的に拡大するに至った。
支那事変も、その本質上日本の英米に対する闘争であり、従って一つの世界戦である」
「近代機械文明の発達は、国家存立に必須なる軍事的経済的資源に於いて、国家をして従来の国土の制限外に超え出ることを要求するに至った」
「近代国家の段階を経過し、資本主義の立場を媒介した現代国家のひとつの基本特質をなすもの」
「ここに共栄圏とか広域圏とか称せられる特殊的世界が、帝国とは構造の違ったものとして要求せられている」
「この政治的統一性は或る特定の国家を指導者として構成されることを要求する」
大東亜共栄圏は自主的な契約的結合によるものでなく、さりとて権力的な強要による結合でもなく、却って地理的・運命的な共同的連帯を基礎となしつつ、而も新たな道義的原理によって結び付けられる特殊的世界なのである」

「今度の大戦には第一次大戦とは全く意義を異にするものが存してゐる。第一次大戦はヨーロッパ列強の帝国主義的争覇の結果であった。第二次大戦はイギリス及びアメリカの維持せんとするこの帝国主義に対する闘争である」
「従って、そこには新たな世界観と新たな道義的理想とが貫いてゐる」
「我が国は歴史的伝統と地域的特殊性に結びついた各民族国家が、新たな世界秩序を建設すべき道理的原理となしこれを中外に宣言している」
「ヨーロッパ的な近代世界史の旧秩序をどこまでも保持しようとする国際聯盟よりの脱退は、この転換に大きな時期を劃した世界史的事件であった」
「あくまで近代的秩序を維持しようと努めたアメリカ・イギリスに対する我が国の宣戦によって、この世界史の転換は極めて理路整然たる決定的段階に入ったのである。
今日に於いて世界史の主導的な役割を演じてゐるものは、実に我が国である」
と高らかに謳いあげられる。122