紙つぶて 細く永く

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未発表ノート

立命館大(京都市)は16日、幅広い分野で言論活動に取り組み、
2008年に89歳で亡くなった加藤周一さんが青春時代につづった
未発表の日記や詩など200点を収めたノートを公開した。
 「ついに始まった。我々の政府の宣戦布告があった。誰が始めたのか。なぜだ」
1941年12月8日の日記には、そうフランス語でつづり、開戦に絶望感をにじませた。
 また、10歳代後半には
  「想(おも)ひ出のたゆたふ小みち 夕もやにあかりもしめり から松の朽はも匂ひ 
  私はほのぼのとあなたを想ふ」
と、女性を思う甘い恋心を詩に表現している。
親交のあった元担当編集者の鷲巣力(わしずつとむ)さん(66)は
「鋭い評論に文学的表現がちりばめられた、加藤さんの思想の出発点」と話している。
加藤さんが客員教授だった縁で遺族が日記や資料などを寄贈。
立命館大は2014年、図書館に「加藤周一文庫」開設を予定している。
-2011年9月16日  読売新聞-

加藤周一佐藤春夫とどこかで接点があったと思うがいまはどこか思い出せない。
下記佐藤の「海辺の恋」も同じような感慨を持たせる。
 こぼれ松葉をかきあつめ
 をとめのごとき君なりき、
 こぼれ松葉に火をはなち
 わらべのごときわれなりき。
 わらべとをとめよりそひぬ
 ただたまゆらの火をかこみ、
 うれしくふたり手をとりぬ
 かひなきことをただ夢み。
 入日のなかに立つけぶり
 ありやなしやとただほのか、
 海べの恋のはかなさは
 こぼれ松葉の火なりけむ。
ちなみにこの詩は「ほんの二つで死んでゆく」というなんとも不思議なタイトルの小椋佳のLPで知った。
友人の結婚式でスピーチを求められ、急遽上の詩を思いつき読み上げた記憶がある。面映い思いで・・

おまけ、加藤周一関連で秀逸のブログです。
http://d.hatena.ne.jp/qfwfq/20081213/p1#c