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日本の鉄道はこのままでいいのだろうか 20

線路は続く 目次

線路は続く11 JR東西2社+新幹線体制+貨物

前回で、現行のJR7社体制ではなく、JR東西2社(+新幹線機構+JR貨物)を考た。まず2社体制を検討する。

greengreengrass.hatenadiary.jp

JR7社の決算を読むことからさらに考えてみよう。

JR7社の決算一覧から見える数字
単位百万円  区別 営業収入 営業km 鉄道収入 /km 社員 営業係数
JR
北海道
2016 総合   2,568.7 76,847 29.9 7,065 154
2017 総合   2,283.2 79,758 34.9 7,003 166
内新幹線   148.8 11,653 78.3
JR
東日本
2016 総合 2,057,300 7,458.2 1,805,000 242.0 57,580 84.3
内新幹線   1,194.2 578,200 484.2 55.5
2017 総合 2,068,800 7,457.3 1,816,200 243.5 57,580  
内新幹線   1,194.2 584,300 489.3  
JR東 2016   総合 10,026.9 1,879,847      
2017   総合 9,740.5 1,895,958   64583  
  在来線のみ 8,397.5 1,300,005      

JR
東海

2016 総合 1,738,400 1,970.8 1,357,900 689.0 18,164 68.0
内新幹線   552.6 1,192,000 2,157.1 64.4
2017 総合 1,756,900 1,970.8 1,371,900 696.1 18,054  
内新幹線   552.6 1,211,900 2,193.1  
JR
西日本
2016 総合 1,451,300 5,007.1 850,000 169.8 29,680 89.4
内新幹線   812.6 437,200 538.0 51.7
2017 総合 1,441,411 5,008.7 849,600 169.6 29,152  
内新幹線   812.6 434,600 534.8  
JR
四国
2016 全体   855.2 26,982 31.6 2,507 137.2
2017 全体   855.2 27,269 31.9 2,450  
JR
九州
2016 総合 377,900 2,273.0 180,900 79.6 9,060 107.3
内新幹線   288.9 49,362 170.9   89.3
2017 総合 382,900 2,273.0 176,400 77.6 8,978  
内新幹線   288.9 50,100 173.4  
JR西 2016   総合 10,106.1 2,415,782      
2017   総合 10,107.7 2,425,169   58634  
  在来線のみ 8,453.6 728,569      
JR
貨物
2016 全体 136,366 7,967.9 136,366 17.1 5,602 106.0
2017 全体 136,934 7,961.8 136,934 17.2 5,529  

注)JR北海道以外の営業係数(100円稼ぐのに必要なコスト)は週刊東洋経済臨時増刊より2012年度の指数 決算数字修正

 

JR各社の2017年決算から各項目の数字を拾い出した。
営業収入は運輸業以外に不動産業とうのいわば副業収入を含む数字。鉄道収入が運輸業としての売上となる。「/km」は営業キロ数1kmあたりの収入を求めた。
仮称「JR東・西」各社の在来線の延長キロ数は8397.5kmと8453.6km、社員数は6万4583人と5万8634人(社員数は新幹線が外れると当然減少する)とほぼ拮抗する。
現在の7社体制と比べて、各社の経営を見てもこのほうがはるかに合理性がある。
なぜ国鉄分割の時にこのような案を考えなかったか・・。

それはやはり東海道新幹線をどの社に割り振るかという問題からだろう。
うがった見方をすれば、東海道新幹線の巨大な利益をJR東海一社で独占させたことが間違いだった。その結果、リニア新幹線のような暴走にもつながった。

リニアの功罪 東海道新幹線の耐用年数から大規模なリニューアルの必要が考えられている。
リニューアルに際し東海道新幹線を運用停止させる必要からもリニアは東京・名古屋間のサブ的な意味をもたせるとされている。
しかし、その意味では現在北陸新幹線として大阪までの延伸計画があり補完としてはこちらを考えてもいいのではないか。
開業後の予想時間を福井県が試算した。福井県HPにでている。

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福井県HPより
それによると東京-金沢-京都-新大阪のルート予定時間は3時間48分となっている。 現行ののぞみ2時間30分と比べて1時間強多くかかる。
しかし5兆円以上といわれるリニア新幹線建設費そのものの巨額さもさることながら、運用後は結果的に東海道新幹線と競合する路線であるというリニア新幹線の宿命そして何より今後の日本経済の拡大、そして需要増が望めるのかという点からも、現在予測される需要予測は芳しいものではない。そのリニア建設のリスクを考えればこの1時間強の差は安いものではないか。


新幹線を外した、鉄道収入を見ると首都圏を抱えるJR東は1兆3000億円、JR西は7285億6900万円と差はかなり大きくなる。

この点を含め鉄道として新幹線機構とJR貨物を含め総合的な連携を考えることになる。
求められるのは鉄道の廃線ではなく、営業努力により乗客増に努めなければならないことだ。

余談 なぜ車の所有台数が少ないか

興味ある数字がある。北海道の世帯当たり車の保有台数は全国41位。北海道より下位には千葉県・兵庫県京都府・神奈川県・大阪府・東京都となっている。
いわゆる大都市の近辺では交通の便利さから、自動車の保有数が少なくなるのだろう。

都道府県別自動車保有台数
順位 前年
順位
都道府県 世帯当り台数 保有台数 世 帯 数
順位 前年
順位
都道府県 世帯当たり
普及台数
保有台数 世 帯 数
福 井 1.749 507006 289825
富 山 1.702 706138 414865
山 形 1.680 691912 411919
群 馬 1.643 1366885 831970
栃 木 1.619 1323350 817370
茨 城 1.602 1957634 1221978
坡 阜 1.594 1291304 809888
長 野 1.585 1364385 861074
福 島 1.564 1218677 779244
10 10 新 潟 1.554 1383696 890293
11 11 山 梨 1.546 550799 356363
12 12 佐 賀 1.521 499049 328015
13 13 石 川 1.492 713718 478395
14 14 三 重 1.466 1147394 782840
15 15 鳥 取 1.453 342296 235502
16 16 静 岡 1.411 2198433 1557733
17 18 岩 手 1.405 734731 523065
18 19 島 根 1.404 405366 288790
19 17 滋 賀 1.397 791006 566148
20 20 秋 田 1.389 591678 426020
21 21 岡 山 1.373 1148102 835989
22 22 徳 島 1.357 453263 334117
23 23 香 川 1.339 583927 436123
24 24 熊 本 1.326 1022084 770607
25 25 宮 城 1.308 1282898 980808
26 26 沖 縄 1.298 821706 632826
27 28 大 分 1.287 686418 533406
28 27 愛 知 1.283 4125650 3214669
29 29 宮 崎 1.282 668895 521627
30 30 山 囗 1.240 817891 659804
31 31 青 森 1.228 724176 589887
32 32 和歌山 1.219 536508 440150
33 33 鹿児島 1.165 940088 807169
34 34 愛 媛 1.129 735787 651763
35 37 高 知 1.116 393485 352694
36 35 広 島 1.110 1443487 1300322
37 36 奈 良 1.107 650270 587413
38 38 長 崎 1.088 690970 635020
39 39 福 岡 1.081 2562795 2371459
40 40 北海道 1.008 2782914 2761826
41 41 埼 玉 0.989 3177611 3212080
42 42 千 葉 0.989 2779939 2811702
43 43 兵 庫 0.916 2297983 2507945
44 44 京 都 0.827 994957 1202380
45 45 神奈川 0.720 3051367 4236072
46 46 大 阪 0.651 2749369 4223735
47 47 東 京 0.445 3110817 6994147
/ 合 計 1.062 61018814 57477037

自動車検査登録情報協会HPより

俗説には北海道の場合、札幌に人口が集中しているので交通の便が良い札幌での自動車保有台数が少ないといわれる。ではその札幌市の保有台数を見てみよう。

  札幌市 札幌運輸局 北海道 北海道札幌以外
総車両数 1,029,597 1,686,802 3,736,908 2,707,311
人口2018.1.1 1,954,626 2,849,688 5,348,102 3,393,476
世帯数2018.1.1 944,184 1,311,812 3,358,621 2,414,437
1台当り人口 1.898 1.689 1.431 1.253
世帯当たり台数 1.090 1.286 1.113 1.121

上記は北海道運輸局の数字。こちらには乗用自動車(タクシー)等が含まれ、登録車両の定義が異なるので上記と数字は異なるが、札幌市を外した北海道でも世帯当たり保有台数は1.121と全国35位そう多くはない。JR北海道の利用も少ない。
 北海道の人は主に何で移動しているのだろう?
札幌運輸局管内は以下

札幌運輸局管内

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