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ある公立高等学校の変遷5 大学進学率

前回「ある公立高等学校の変遷4」まで、1950年から1975年の京都市域の公立高校の通学区変遷を調べた。
 それぞれの学校でより良い教育、その結果としての高い人格形成を求めて教育制度改革が行われてきた。
 私もその中を漂流し、不安にかられ、(あとから気づいたことだが)教師に恵まれ、(すごい)環境に助けられた。
自身の立場はともかく、このシリーズをなにげなく取り組み始めたころには考えられなかった、京都の中等教育の素顔や魅力を強く意識し始めている。

京都府の通学区制は10年を単位として修正を重ねられた。
 まず敗戦後混乱の中1947年にまず整備され、1955年に一応の確立を見た。そして1965年、1975年と節目に修正され1985年からは類別コースが実施され大きく変貌した。
 その成果の一つの側面として、今回卒業後の大学進学に注目する。
京都府では敗戦前から高等学校について小学区制が敷かれ戦後も1985年類別コースが実施されるまで、小学区制は維持されていた。その中で進学についての意識はどう変わったか。
 文科省の「学校基本調査」により、公立高校からの大学進学率を見てみる。
以下に1950年からの全国の都道府県別大学進学率を表にした。
(4年制大学、短期大学、高等学校専攻科への進学者)

1950-1995年通算進学率(年度により都道府県単位資料がない)
(累計38年間)
累計 各年
地域 進学者 卒業生 進学率 順位 5位内 10位内
北海道 594,998 2,426,682 24.5% 34 0 3
青森 134,019 679,445 19.7% 46 0 1
岩手 132,418 663,542 20.0% 45 0 0
宮城 202,648 921,706 22.0% 39 1 2
秋田 122,938 597,221 20.6% 43 0 0
山形 124,624 617,842 20.2% 44 0 0
福島 208,468 986,274 21.1% 41 0 0
茨城 246,428 1,104,034 22.3% 38 0 0
栃木 215,782 850,244 25.4% 31 0 0
群馬 183,609 846,526 21.7% 40 0 0
埼玉 413,567 1,761,021 23.5% 37 0 1
千葉 433,834 1,681,777 25.8% 29 0 0
東京 1,711,910 5,097,596 33.6% 7 12 24
神奈川 762,437 2,399,644 31.8% 14 15 23
新潟 215,535 1,144,464 18.8% 47 0 1
富山 167,874 525,365 32.0% 13 1 14
石川 161,538 497,705 32.5% 11 3 11
福井 117,087 358,955 32.6% 10 5 15
山梨 123,856 431,769 28.7% 24 0 0
長野 241,191 1,013,790 23.8% 36 0 0
岐阜 273,053 876,592 31.1% 17 0 0
静岡 451,168 1,511,207 29.9% 20 0 0
愛知 899,849 2,495,200 36.1% 4 16 38
三重 214,868 717,903 29.9% 18 0 0
滋賀 137,426 439,091 31.3% 16 0 4
京都 352,697 1,063,898 33.2% 8 7 22
大阪 1,123,623 3,308,567 34.0% 5 16 26
兵庫 796,914 2,086,462 38.2% 1 37 38
奈良 180,524 475,532 38.0% 2 29 34
和歌山 137,705 465,078 29.6% 22 0 4
鳥取 90,628 302,952 29.9% 19 0 3
島根 100,986 374,676 27.0% 26 0 1
岡山 296,827 904,403 32.8% 9 0 22
広島 455,223 1,251,815 36.4% 3 28 31
山口 227,458 764,856 29.7% 21 0 3
徳島 121,697 384,407 31.7% 15 2 10
香川 152,835 474,214 32.2% 12 3 15
愛媛 244,553 720,316 34.0% 6 13 25
高知 88,145 332,180 26.5% 27 0 0
福岡 588,235 1,997,445 29.4% 23 1 4
佐賀 110,847 445,477 24.9% 33 1 1
長崎 202,786 772,765 26.2% 28 0 1
熊本 200,468 829,807 24.2% 35 0 3
大分 182,078 639,096 28.5% 25 0 0
宮崎 133,755 525,089 25.5% 30 0 0
鹿児島 232,742 932,141 25.0% 32 0 0
沖縄 95,893 456,271 21.0% 42 0 0
全国 14,607,744 50,153,042 29.2%      
文科省「学校基本調査」より

 


上記表から見てみると、この38年間通算で最も進学率の高い県は38.2%(兵庫県)そして最も低い県は18.8%(新潟県)、その差19ポイントとなった。
100人中40人近い進学者と100人中20人に届かない進学者と大きく差が見えた。
都道府県の中では、総合で兵庫県が最も進学率が高い。集計された38年の間、すべての年で上位10位以内に入り、かつ上位5位以内の回数は37回。
次に高い進学率は奈良県。10位以内が34/38、5位以内は29/38となる。
愛知県もすべての年で10位以内となっている。
また東京都は歴年7位で、10位以内が24/38、5位以内は12/38となる。
主題テーマである京都府を見てみると、記録のある38年間の集計では順位8位、また各年ごとでは全国10位以内が22回、5位以内は7回となっている。

教育の成果は、「教師」「教育制度」「生徒」という3つの要素から成り立っている。
その2番目の「(高校)教育制度」について京都府では見てきたように、小学区制・総合制・男女教学という「高校三原則」が貫かれてきた。
 その結果、とくに初期のころは年度が異なれば、大半の新入生の通学地域が入れ替わり、異なる地域=中学の生徒が集まるという時代と、高校新設が落ち着き通学区域が毎年ほぼ変わらない(中学からの)新入生という時代があった。この影響が進学にどのような変化をもたらしたかはある意味想像でしかない。入学してから卒業するまでに3年間のタイムラグがあるからだ。
 上記総合的な表からいえることは京都府の教育は、進学という意味からは高い結果を生んだということになる。

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