各地とも史上最大級の大雪で話題もちきりであるが、近隣では慣れない手つきで一家総出の雪かきにおわれている。
その近隣に自宅の前だけをきれいに雪かきを済ませ、家の前だけ雪のない一軒の家があった。すぐとなりには先日来の雪が残っている。その前を通りながら何故か違和感が沸いた。現実は、一軒の家先だけ除雪しても、その一家が家先だけを移動するのならば好都合であろうが、隣あるいは近隣のスーパーへ買い物に行くには雪が残り不便は解消しない。ならばこの家人は何をもって自身の家の前を除雪したのだろうか。おまけに道路をとおる車はこの雪の空白を避けて通った。
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メディアの役割とは何か
紐解くと「メディア」とは媒介者の意味らしい。
トランプとアメリカメディアのやり取りを見ていてより一層メディアについて考えた。いわば世界最強の権力者になろうとする御仁の、数々の疑義をただす行為が適切に行われているのか、ということである。トランプはアメリカ合州国という家の前だけに雪が無ければいいと述べている。一事が万事この人物の言動には多くの疑問が伴っている。それはだれしも認めるところである。
その疑問を紐解くには、本人からの釈明が不可欠である。いや、形としては本人との質疑応答になる。
記者会見ではそれを拒否するのである。
160文字制限のTwitter中で一方的に意見を発表し、それにたいする不都合な質問には答えない。メディアはその「壁」にいかに対応するのであろうか?
少なくとも「真実の」トランプとわれわれの媒介者たるメディアが、その「壁」に屈する姿はその体たらくの現れではないか。
「壁」に挑戦するCNNやバズフィードがかすかにつながる媒介者となっている。しかし今後CNNの矛先が変わるという予測もあるなか、メディアも事実を持って指摘すればいいのだ。
しかし現在のところ各メディアは米大統領選挙事前予測の失敗から、自身の家の前を清掃し始めた。「ひょっとしてわれわれが思っていた価値観は間違っていたのかも知れない」「これはこちらの価値観を変える必要がある」
より骨のある媒介者を見てみたいものだ。
ニューヨークタイムスの名物コラムから
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直近の世論調査でもオバマの60%の支持率に比べトランプは40%と低い。反対陣営の抗議デモが続く中、岡本行夫氏によるとトランプの就任演説にはヒラリーに投票した人への言及が一言もなく、アメリカの分断は深刻と。
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きょうの社説では
「新大統領のドナルド・トランプ氏は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げている。 「偉大な米国の復活」は、国際秩序と一線を画す孤立主義への回帰なのか。大国としての責任を担い続ける覚悟はあるのか。しっかりと見極めたい」
といい淀んでいる。そしてこのスタイルを前提にして、
「共通の利益で長年結ばれてきたパートナーを軽んじる姿勢は、米国が築き上げてきた国際秩序への自傷行為にほかならない。長い目で見れば、米国の利益を損なうことをトランプ氏は悟らねばならない」
と指摘する。沈思黙考と断言。
メディアは一斉に自身の家の前へ雪かきに出て行った。
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バズフィードはトランプ氏の発言に対抗して、「失敗しているゴミの山」と胸に記したTシャツや、「私は『失敗しているゴミの山』から誇りを持ってニュースを得ます」と書かれた車用ステッカー、ゴミ箱などをネットで発売。すぐに売り切れた。2万5千ドル(約290万円)の収益は、報道の自由を守る非営利団体「ジャーナリスト保護委員会」にすべて寄付するという。
REMEMBER3.11
不断の努力「民主主義を守れ」