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雪かきそしてメディア・報道の役割

各地とも史上最大級の大雪で話題もちきりであるが、近隣では慣れない手つきで一家総出の雪かきにおわれている。
その近隣に自宅の前だけをきれいに雪かきを済ませ、家の前だけ雪のない一軒の家があった。すぐとなりには先日来の雪が残っている。その前を通りながら何故か違和感が沸いた。現実は、一軒の家先だけ除雪しても、その一家が家先だけを移動するのならば好都合であろうが、隣あるいは近隣のスーパーへ買い物に行くには雪が残り不便は解消しない。ならばこの家人は何をもって自身の家の前を除雪したのだろうか。おまけに道路をとおる車はこの雪の空白を避けて通った。

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メディアの役割とは何か

紐解くと「メディア」とは媒介者の意味らしい。
トランプとアメリカメディアのやり取りを見ていてより一層メディアについて考えた。いわば世界最強の権力者になろうとする御仁の、数々の疑義をただす行為が適切に行われているのか、ということである。トランプはアメリカ合州国という家の前だけに雪が無ければいいと述べている。一事が万事この人物の言動には多くの疑問が伴っている。それはだれしも認めるところである。
 その疑問を紐解くには、本人からの釈明が不可欠である。いや、形としては本人との質疑応答になる。
 記者会見ではそれを拒否するのである。
160文字制限のTwitter中で一方的に意見を発表し、それにたいする不都合な質問には答えない。メディアはその「壁」にいかに対応するのであろうか?
少なくとも「真実の」トランプとわれわれの媒介者たるメディアが、その「壁」に屈する姿はその体たらくの現れではないか。
「壁」に挑戦するCNNやバズフィードがかすかにつながる媒介者となっている。しかし今後CNNの矛先が変わるという予測もあるなか、メディアも事実を持って指摘すればいいのだ。
 しかし現在のところ各メディアは米大統領選挙事前予測の失敗から、自身の家の前を清掃し始めた。「ひょっとしてわれわれが思っていた価値観は間違っていたのかも知れない」「これはこちらの価値観を変える必要がある」
より骨のある媒介者を見てみたいものだ。

 ニューヨークタイムスの名物コラムから

クルーグマンコラム@NYタイムズ」雇用主から解雇やレイオフ(一時解雇)された米国人は、1日に概算で7万5千人にのぼる。 こうした労働者のなかには良い就職先が見つかる人もいるだろうが、多くは給料が下がるだろうし、 その後何カ月も、あるいは何年も仕事が見つからないままの人もいるだろう。
  この話をあなたがひどいと思うなら、そして、どんな経済危機が起きていたかと考えているなら、答えよう、何も起きてはいない。
 実のところ、労働市場では平常通りに時が流れている。
 米国経済は巨大で、雇われている人は1億4500万人にのぼり、絶えず変化もしている。産業や企業には盛衰があり、勝者も敗者もいる。
 その結果、雇用は常に揺れ動き、より多くの雇用が生まれるのと同時に、多くの職が消えていく。
 自己都合ではない、「会社都合」による平均的な1カ月間の離職者は150万人。実働日1日当たり7万5千人だ。これが冒頭の数字だ。
 なぜこんな話をするのか? 実効性のある真の経済政策と、最近メディアであまりに多くの注目を集めている、まやかしの政策との違いを際立たせるためだ。
 本物の政策は、米国のような裕福な大国では多額のお金が絡み、経済に幅広く影響を及ぼす。医療保険改革法(オバマケア)の廃止は、まさに本物の政策だ。
 実施すれば、低・中所得世帯向け保険への、何千億ドルもの補助金を奪い取り、約3千万人が無保険になる結果をまねくだろうから。
 対照的なものとして、複数のニュースチャンネルでこのところ繰り返し流された話を考えてみよう。
 次期大統領のドナルド・トランプ氏の口先介入で、米空調大手キヤリア社がメキシコへの雇用移転をやめたという話だ。
 800人の雇用が維持されたと報じるものもあれば、機械で置き換えられるだけだろうと伝えるものもあった。
 だが、最も好意的な解釈をしたとしても、職が守られた労働者の約100倍にあたる人数が、その同じ日に失業していた。

 まるでトランプ氏が本質的な意味あることをしたように感じたかもしれないが、そうではない。
 まやかしの政策なのだ。本物の成果のためではなく、うぶな田舎者にすごいと思わせるための見せ物だ。
 同じことが、フォードがミシガン州で700人の雇用増を決めたという大げさな宣伝にも当てはまる。
 ゼネラル・モーターズ(GM)がシボレー・クルーズをメキシコで製造しているという、事実と異なるトランプ氏の糾弾も同じだ。
 メキシコの工場は主に他国の市場向けで米国向けではない。
 次期政権はフォードの決定に何か関与したのか? 政治的圧力でGMの戦略を変えることはできるのか? ほとんど関係がない。
 個別問題への大統領の干渉が、19兆ドル(2185兆円)規模の経済に重大な影響を与えることは決してないだろう。
 それならなぜ、こうした話題がこれほどメディアの注目を集めるのか。
 次期政権がまやかしの政策をとろうとする動機は、明白だ。いい加減なポピュリズムとぴったり寄り添うものでもある。
 トランプ氏は白人労働者階級の有権者から圧倒的な支持を得た。有権者たちはトランプ氏が味方だと信じた。
 しかしトランプ氏の本物の政策の主題は、不気味な貿易戦争以外は、ごくふつうの現代の共和党政策だ。
 つまり、億万長者に対する大幅減税と、多くのトランプ支持者に不可欠なものまで含む公共政策の容赦ない削減である。

 では、ペテンを続けるためにトランプ氏にできることは何か。
 あちらこちらでいくらかは雇用を守ったと長々と語られ得る、人目を引くが、実際は取るに足りない干渉だ。
 この巨大な国で、実際の効果は、誤差の範囲にすぎないだろう。だが、おそらく少なくとも、宣伝戦略としてはしばらくの間はうまくいくかもしれないのだ。  企業にも、その宣伝に同調したい動機がある。仮にあなたが新政権のご機嫌を取りたい最高経営責任者(CEO)だとしよう。
 一つできることは、もちろん、トランプ氏が手がけるホテルや他の事業に向けてビジネスに乗り出すことだ。
 もう一つは、トランプ氏に好意的なニュースの見出しをつくり出すことに、手を貸すことだ。
 米国で数年間、数百の雇用を維持することは、選挙献金としてはかなり安い。  もっと安くすむのは、どのみち本当に増やした雇用を、新政権の説得で増えたふりをすることだ。
 とはいえ、いずれも、ニュースメディアの共謀なしには、うまくいかない。
 これも大問題になりつつあるが、「偽ニュース」について言っているわけではない。
 私が言いたいのは、まともな主流派のニュースで取り上げることだ。
 こう言っては悪いが、雇用を守ったとするトランプ氏の主張の根本的なまやかしぶりを伝えず、その主張を繰り返し大きく取り上げるのはジャーナリズムの背信行為だ。
 記事を読み進んでいけば、結局は偽りを暴いていても、同じことだ。
 見出しを見て主張は妥当だと思うのが、ほとんどとは言わないまでも多くの読者なのだから。
 さらによくないのは、まやかしの政策に関するニュースに追い出され、論じられるべき政策が取り上げられなくなることだ。
 まやかしの政策に、やがてメディアが反発し、キヤリア社の事例のような人気とり策を単にばかげたものだと扱うようになるかもしれない。
 しかし、これまでのところ、楽観できる要素は何一つない。

直近の世論調査でもオバマの60%の支持率に比べトランプは40%と低い。反対陣営の抗議デモが続く中、岡本行夫氏によるとトランプの就任演説にはヒラリーに投票した人への言及が一言もなく、アメリカの分断は深刻と。

きょうの社説では
「新大統領のドナルド・トランプ氏は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げている。 「偉大な米国の復活」は、国際秩序と一線を画す孤立主義への回帰なのか。大国としての責任を担い続ける覚悟はあるのか。しっかりと見極めたい」
といい淀んでいる。そしてこのスタイルを前提にして、
「共通の利益で長年結ばれてきたパートナーを軽んじる姿勢は、米国が築き上げてきた国際秩序への自傷行為にほかならない。長い目で見れば、米国の利益を損なうことをトランプ氏は悟らねばならない」
と指摘する。沈思黙考と断言。
メディアは一斉に自身の家の前へ雪かきに出て行った。

 バズフィードはトランプ氏の発言に対抗して、「失敗しているゴミの山」と胸に記したTシャツや、「私は『失敗しているゴミの山』から誇りを持ってニュースを得ます」と書かれた車用ステッカー、ゴミ箱などをネットで発売。すぐに売り切れた。2万5千ドル(約290万円)の収益は、報道の自由を守る非営利団体「ジャーナリスト保護委員会」にすべて寄付するという。

 

REMEMBER3.11

不断の努力「民主主義を守れ」