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「孫」の仕打ち

岸信介の孫、「安倍晋三の思考の筋道」論考
彼の思考を経路立てて述べれば、
まず国内的には経済指標の数字をある程度(若干のマイナスも含む)に維持できれば民主党時代とは異なった「明るい未来」を口頭で強力に訴えられる、
その結果国民には肌ではなく頭の中に希望を抱かせることができる。
そして国民からの支持を高く維持できる。
支持さえ強固であれば、対韓国、対中国などからの強い反発があっても、外交戦略を考慮せずに世界に強国日本の道をアピールできる。

しかし状況的に方向が間違っている。資料にしたのは以下
元駐日英国大使、コルタッチ氏の指摘。参照 Japan Times から (内田樹の研究室)
彼の掲げた「三本の矢」にもかかわらず、経済は依然としてデフレと停滞から浮かび上がることができずにいる。経済の再構築と最活性化こそが第一の政治課題でなければならない。

労働人口比率のこの減少は日本の成長と将来の繁栄にとって深刻な問題である。
人口減から生じる経済社会的脅威をどう抑制するか、そのことの方が、瑕疵があると批判されてはいるけれど、現に70年近くにわたって日本の繁栄に資してきた憲法の条文をいじり回すことよりもはるかに重要なことではないのか。

中国経済は年初から好材料がない。中国政府が経済を成長軌道に再び載せる手だてを持っているのかどうかはまったく不透明である。習近平主席は汚職摘発と分離派への弾圧を同時的に行っている。中国政府はこのような時期に日本から仮想的ではあれ脅威がもたらされるということになれば、それを利用して、国内のナショナリズムを煽り、中国の国内問題から国民の目を逸らそうとするだろう。

2016年はアメリカ大統領選挙の年である。日本政府はこれまで伝統的に共和党びいきであった。それは貿易問題において共和党の方がより信頼できたからである。しかし、もし共和党の大統領候補が予備選挙で勝ち、ポピュリストの支援を得て次期大統領になったら、かつてマイク・マンスフィールドが絶賛した日米関係はどうなるか?
トランプ大統領あるいはクルーズ大統領の思想はすべての海外のアメリカ観察者に激震を走らせるに違いない。日本政府の移民政策などはドナルド・トランプのそれに比べればはるかにリベラルである。そんなことより日本にとって重要なのは、トランプは日本が日本防衛に要するアメリカの全コストを負担することを要求している点である。トランプ大統領の命令下にアメリカチームが要求してくるこれらのコストをめぐる交渉の困難さに比べれば、普天間基地問題などものの数ではない。

英国もヨーロッパも過激な共和党大統領候補者のうちの誰かが指名を獲得し大統領になった場合に起こる諸問題に今から頭を悩ませている。しかし、他国だって苦しいのだということは日本にとっての慰めにはならない。

日本はなぜ今そんなことのために時間と努力を浪費するのか? 
なぜ日本はこれほど多くの問題を抱えているにもかかわらず、それを後回しにするというリスクを冒すのか? 
安倍は想像上の過去の中に暮らしているのだろうか? 
日本は英国と同じように、21世紀の世界の中で、その国力の漸減という状況と折り合ってゆかなければならないのである。
たしかに日本は今ならまだ世界に対して何ごとかをなしうる余力がある。
けれども、その影響力と人口を絶えず失い続けているという事実を直視しなければならない。

彼は1954年生まれ。昭和29年である。戦後の混乱も収まり朝鮮戦争による特需を足掛かりとして日本経済が高度成長にスタートを切るころである。物心ついたころに総理秘書官から衆議院議員となった多忙な父よりも1960年7歳の時に総理を辞任した祖父岸信介の薫陶を多く受けたことであろう。60年安保のころ、かれは岸の住居にも聞こえる「アンポハンタイ」の声を真似ていたそうであるが70年安保改定の時には16歳、多感な頃で何を考えていたのだろうか。しかし何かが脳裏に強く焼き付いたのかもしれない。かつ何かを焼き付けられたのと引き換えに知性を無くしたのだ。知性を失った人間だからこそ、委員会質疑の場で自席から「はやく質問しろよ」と発言できるのだし、アメリカ国会議事堂で恥じることなく自身の英語を披露できる。その演説下記は聞くに忍びない。

同じ意見がここにもあった。

安倍首相の英語スピーチが原稿棒読み&カタカナ発音すぎて酷評される | TOEIC TOWN (トイックタウン)

どこかで小林よしのり氏も上げているが、これは真の意味での自虐ネタではないのか。自信をもってするミステークほど後で悔やまれるものはない。それでいうと昨今は永田町2丁目3−1でこたつにでも入り頭を抱えている姿が想像できる。
一種離れたサークルにいる我々や冷ややかな政府官僚のお付きは別としても家族および親族はよくできたと頭でも撫でているのだろうか。
この米議会での演説冒頭に、「こんにちは。1957年6月に私のおじいちゃん岸信介がまさにここで演説したんだよ。その演説を聞いて代読するよ。だから僕もおじいちゃんの意向をくんで日本の良いところを進めて、世界に誇れる強い国にするんだ」てなセリフがある。アメリカでは「かわいい」と「幼稚」は同義語らしいが、議事堂の議員も孫の可愛さに思わず拍手をしたにちがいない。
むかしアメリカのえらい軍人が評価した言葉が浮かんできた「アングロサクソンが40歳代とすると日本人は12歳の少年のようなものです」

ことほどさように多くの難題を抱えながら思考停止に陥った「全体意志」の力学で支持率は高止まりを続けている。「内閣支持率」についてはすでに新聞身内からの指摘
「こうしたことから、新聞各社の世論調査の内閣支持率の数字について、単純に比較することにあまり意味はない」と自らのデータを信用するなとの記事が真実を述べている。(注)
原発の危険性と、憲法違反の安保(戦争)法制に見られる市民意識と「全体意志」の乖離でわかるように「全体意志」は2011年3月11日で思考を停止しているのである。その機に乗じて孫を傀儡としてよみがえった旧体制のお遊びに付き合っている時間が残されているのか。
コルタッチ氏の指摘する「たしかに日本は今ならまだ世界に対して何ごとかをなしうる余力がある。けれども、その影響力と人口を絶えず失い続けているという事実を直視しなければならない」という言葉が脳裏に焼き付いた。アメリカ大統領予備選挙の共和党大統領候補トランプ氏がますます有力となっている現状からも彼の指摘はさらに現実味を帯びてきた。将来孫から、おじいちゃんなんでこんな国をのこしたのと云われそうである。
(注 このA新聞コラムの筆者は各新聞の旗幟を読む能力に欠けているらしい、各紙の旗幟から当然読者も異なるのであり、そのよって立つ権力的な立場、反権力的な立場からのアンケート結果も自ずからことなる。もっとも旗幟を読む能力に欠けているとするとこれは記者として致命的な欠陥であえて善意に解釈すれば旗幟の違いを取り上げ迷路に入り込むことをためらったのかもしれない)

 

 

REMEMBER3.11

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