紙つぶて 細く永く

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数学嫌い

経済学では数学を多用する。したがって経済学は理系のはずである、という認識をきかされて変に納得した。
探求するこころは天性に備わっているものであり、小さいころに教えられたのは、天才ガウスが小学生の時に100までの自然数合計を簡単に出す方法を考えた、ということである。
100までの合計数を「S」とすると、100までの合計は以下のようにあらわせる。

S=1+2+3+4+・・・・・・+97+98+99+100

一方これを逆に並べても合計は同じだから

V=100+99+98+97+・・・・・・+4+3+2+1

ふたつの式を加えると
S+V=(1+100)+(2+99)+(3+98)・・+(100+1)
=101×100=10100
これを2で割ればSの答えが得られる。すなわちS=5050
こんな計算ができるのだという感想と、天才はすごいことを考えるんだという感想を抱いた。これが原因か否かはわからないがそのあと算数・数学は苦手となった。

ところが、PCに触れるようになってデジタルすなわち、0か1かを基礎に考えが及ぶようになると案外すんなりと数学拒否アレルギーを起こさなくなった。上記の式と下記VBA図が非常に似て見えるのです。

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例を挙げるならVBA図の中でIfと問いかけているのは「1ですか0ですか」の意味であり、「Else」は前記で0を選択した場合は1の意味となる。
そして問いかけたのだから問いを終わるEndIfを必ず使用しなければならない。始めたのなら途中で放棄せずに終わるこれは0か1かの意味にも通じる。
またVBA中の「’」はこの行をVBAとして読まないという意味になる。ある意味この行の意味をゼロ(違ったなNullだ)とする、という具合。そんなこともあり少し数学への興味が芽生えた。

以前職にあるときに京都大学理学研究科数学教室のサーバーシステムに関する教員の集会に参加したことがある。
時間ぴったりと始まり、先輩後輩の順に並び先輩から発言をはじめ、後輩は遠慮勝ちに小さく声を出す、のだろうなと予想していたがそのようなことはなかった。
数分遅れて始まり、もちろんジーパン・ノーネクタイの人もおり、途中から参加の人もあり、議題の性格かもしれないが詳しい人が多く話しまったく発言しない人もあり中の何人かは議論中も片時もPCを離さずフリートークのような議事進行であった。そのような中であっさりと結論がでた。集会のあった数学教室の建物はおそろしく音のない建物で話し声はもちろん遠く走る車の音も聞こえない無音の建物だった。唯一なぜか不思議なのだが廊下が木製のタイルでそれを踏みしめるときにカチャカチャと音がした。

1995年に過去360年間解けなかった「フェルマーの最終定理」がイギリスのアンドリュー・ワイルズによって証明された。当時その大ニュースに知人からこの証明が何の役に立つのかと感想が出たのを思い出す。そして2003年頃に「ポアンカレ予想」がロシアのグリゴリー・ペレルマンによって証明されたというニュースが世の中を駆け巡った。このポアンカレ予想解決には100万ドル(約1億円)の懸賞金がかけられていた。グリゴリー・ペレルマンはこの証明によって与えられるフィールズ賞とそしてそれによって得られる懸賞金100万ドル両方を固く辞退した。これもまたニュースとなって世界中を駆け巡った。

ペレルマンの心境がわからないなんと理解したらいいのだろうとの思いが尾を引いていたが、昨日偶然買った本「100年の難問はなぜ解けたのか」新潮文庫でなんとなくその気持ちが読めてきた。

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その中にこんな文章がある。ペレルマンはアメリカスタンフォード大学奨学生でいた時、奨学金貸与の期限がせまり新たなポストにつくかロシアに帰国するかと選択を求められた。友人が教官ポストを得るために奔走し推薦人を選定し、その推薦人にあてて履歴書を書くように頼んだ。だがペレルマンの返事は意外なものだった。「私の研究を知っている人に推薦状を依頼するなら、私の履歴書などいらないはずです。しかし私の研究をしらない人に依頼するとしたら、そもそも推薦の意味がまったくありません。推薦状など必要ないでしょう」
そしてペレルマンは帰国し「ポアンカレ予想」に立ち向かう。
現在彼は母親の近くに暮らし母親の年金で生計をたてているそうである。

 

 

REMEMBER3.11

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