紙つぶて 細く永く

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青春18切符での出会い 2

あなたは「あほ」だ。
理由は数多くある。
健康をいいことに無鉄砲であった。
自身の身体を一番もてあそんでいた。
義歯さえ入れない口で行く末を話す、
そして不公平に甘んじ苦情を言わなかった。
つらいという言葉を出さなかった。いや一度だけ深夜新聞配達に出かける自転車で登る坂道がつらいと聞いた。
飲み屋の借財に困っていたとき思わぬ遠方の働き先まで日銭を稼ぐため毎日歩いて出かけたことも聞いた。
そのころには毎月こちらの懐具合をも気遣って、少ないながらの借金を申し出てくれた。
その金のやり取りが会食にもつながった。
思えばそのころ何かに背中を押されながら毎日出かけていたその時が唯一昔を忘れられるときだったのかもしれない。
世の不合理をあなたは飲み込んだ。私は吐き出した。
見知らぬ地で一人住まいになってからは今までのしがらみとも離れ少しは気が楽だったのか?
親しい友人の境遇もよく話してくれたがそのとき私はあなたと重なってその境遇を思っていた。
今となってはどのように重なるのか、どちらが壮絶なのだろうか・・
その友人が埋葬されている深草霊園、あなたもそこに埋葬されたいといっていたが、それは叶わないようだ。親族によってお骨は先祖代々の墓に入れる予定だそうだ。

深草霊園そのあと思い出の地でもある居酒屋で悲しい献杯を。

 

 

REMEMBER3.11

不断の努力「民主主義を守れ」