紙つぶて 細く永く

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今日の事態は私たちの一票が招いた?

この事態を危惧する人も多い。しかしこの結果はその「危惧する人」も含めた私たちの一票が招いたことに間違いはない。
毎週月曜日最寄りの駅に、地方議員が立って朝の挨拶をしている。行く人に「おはようございます」や「行ってらっしゃいませ」と一言をかける。中には自身の議会での成果をマイクで演説する議員もいるが、ほとんどは挨拶の一言のみだ。彼らが何をしているのかは知らないが、先日の統一地方選挙で、その中地元市議会議員のひとりBさんは市議会議員の立候補を取りやめ、後をついで立候補したAさんに付き添って演説を始めた。なぜだろうと思っていると後日の府議会選挙に立候補し無事当選した。Bさんは自身の地盤をAさんに譲った(貸した)のである。ところてんで両者無事議員になったわけである。
そしてやがてBさんは府議会から地方自治体の長になるか議会議長になり、あるいは途中で国会議員のCさんに後を託され国会議員となるのである。

「僕は兵庫県民ですけれど、先般の統一地方選挙の前に、地元紙の記者が取材に来ました。僕は県議会のことも市議会のことも、どんな活動をしているのか、ほとんど何も知らなかった。新聞ではほとんど何も報道されないですから。
だから訊いてみました。いった議会は何をしているのか、どういうことが今地方議会での争点なのか。すると地方議会、とくに県議会はほとんど機能していないのだと教えてくれました。ご存知かもしれませんけれども、兵庫県議の「号泣議員」という人が政務調査費を使い込んだ事件が大きく報道されました。そのあと、芋づる式に他の議員たちも政務調査費で家族と温泉旅行に行きましたとか言ってお金を返済するということがありました。「何で、こんなにモラルが低いんでしょうか」と尋ねたら、記者の答えは「仕事がないからじゃないですか」というものでした。
 過去20年間で、兵庫県の県議会で議員が提案した条例が2つしかないそうです。あとはすべて県庁から降りてくる条例。議会ではほとんど修正もしないそうです。
 号泣議員は一年間だけで195回日帰り出張をしたということで政務調査費を使い込んでいましたけれど、一年の半分以上が「自由時間」であり、その期間に何をしているのかをチェックする仕組みがなかったということに僕は驚きました。だったら、県議会なんかあってもなくても同じじゃないですか。県民はそう思いますよ。でも、これはわざとそういうふうにシステムを作り込んでいるんだと思います。立法府が機能しないような仕組みを政治家たちと官僚たちが作っている。
ひとつは候補者の選定ですね。これはもういろいろな人が指摘していますけれども、候補者は執行部が選ぶ。今はなんでも党議拘束されますから、とにかく政党執行部の指示通りに起立する議員の頭数が欲しい。それ以上に独自の政治的見識があったり、妙に選挙民に人気があったりする議員は要らない。だから、そこそこ弁が立って、そこそこルックスが良くて、そこそこの学歴で、上に逆らわないようなイエスマンたちが優先的に政党の候補者として選択されてゆく。個々の人物がどれほどの器量か、どういう見識を持っているのかというようなことは政党にとってはもう「どうでもいい」ことなんです」
内田樹研究室より

件の議員AさんBさんは当選後の辻立演説も以前とおなじである。彼らの上には国会議員Cさんがいるわけで、このようなところてん方式で選良が選ばれるのであろうか大いに疑問がわくが、しかしあなたの一票がAさんBさんCさんの連鎖に与したのである。
直裁的に云おう、「自民党」「公明党」に投票した、しかしより悪は無自覚に投票した人が戦争への一票を投じたのだ。

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その日は何を意味するのか怪しい空だった。



 

REMEMBER3.11