紙つぶて 細く永く

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映画小さいおうち

山田洋次監督の映画「小さいおうち」。
淡々と移り行く時を描写した今までの作風と少し異なり、「平井時子」のロマンが大きな主題となっている。
感情のままに生きる「平井時子」と自我を主張できない「布宮タキ」ひとはその刹那に正しいと思う、ことをする。それが結果的に「損」を生むとしても。
「一生を無駄にした」人生なんてないんだ、と主張する。

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映画には感動が必要と思う。ハリウッドは役者の個人的人気にゆだねるか「刺激の強化路線」でマンネリになってきた。
CGは両刃の剣だ。数千万円の「ポルシェkaien」を破壊しつくす刺激にはついに飽きが来た。
小津監督の「東京物語」が見直される時代になった。 妻夫木君の上手さも感心するが、倍賞千恵子の幅の広い演技がいい。
前回「東京物語」で老夫婦役を演じた、橋爪功吉行和子が同じく(小中先生)夫婦役となっている。
橋爪功は役人「平山周吉」でなく町工場の経営者然だった前回と異なり、ぴたりと作家役にはまっていた) 少し難を言えば、吉岡くんはシリアスな役ではなく、寅さんシリーズのような少しコミカルな面をもった演技がぴったりする。
(いまだに私の中で「純」や「武志」の幻影がぬぐえないのかもしれない) また、中嶋朋子がよかった。こちらは蛍の幻影をすっかり払拭していたと感じた。
いや蛍の成長した姿かもしれない。 ストーリーとすればタキがなぜ手紙を渡さなかったのかが主題となるべきだと思うが、ストンと落ちるところがなかった。
原作はそこをどう解決しているのだろうか。