紙つぶて 細く永く

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経済1

以前学んだことがある。

南の島である。
そこに暮らすある人(A)に、文明社会からきた「経済を学ぶ」学者(B)が尋ねた、
(B)「あなた毎日ぶらぶらして働かないのかね」
その人(A)が答えた。
「働けば何かいいことがあるのかね」
(B)「働けば収入が入るようになる」
(A)「収入が入ればなにかいいことがあるのかね」
(B)「そうだな、余裕ができて貯金ができる」
(A)「貯金ができればなにかいいことあるのかね」
(B)「食べることに困らないし、毎日海辺で夕陽を見ながらのんびりできる」
(A)「それなら今やっていることとかわらない。今のままでいいよ」

大昔原始の時代人々は毎日食べることが働く主目的であった。
そのうち体力の優れた人が確保する食料に余りができ始め、近くの知り合いに分け始めた。
貰った人は感謝の気持がわき、その代わり近くの洞窟で見つけた斧としても使える石器をわたした。
体力の優れた人はますます食料を確保し、やがて多くの人と物々交換をするようになり、
体力の優れた人にはいろいろなものが集まりはじめた。
一方、石で石を削り磨くことによって斧ができることを知ったものは、
食料をとる人たちに斧を分け与え体力の優れた人はその斧でますます多くの食料が確保できるようになった。
食料をとる人や斧を作る人の周りに多くのものがあふれ、
使わないものは他の人と物々交換をするようになった。
やがて物々交換に品物をかかえてゆくのは大変なことに気づいた人が、
(仮に、)この軽い美しい貝殻を物々交換計算の元にすれば重い荷物を動かさなくてもいいことを発明した。
手のひらに載る食料は貝殻1枚、斧は貝殻2枚と決めると
食料と貝殻1枚を交換し、斧と貝殻2枚を交換した。
食料を確保する人や斧をつくる人にはいろいろなものの代わりに貝殻が集まり始めた。
これが通貨の始まりである。

やがて通貨は成長し大きな意味を持つようになる。
通貨をたくさん持てば欲しいものが買えるのである。
食料をたくさん採れば通貨をたくさん得ることができ、それで寒い冬をしのげる薪が買える。
斧をたくさん造れば、家族に十分食べさせることができる。
通貨そのものが目的に変わる。通貨を蓄えるようになる。
経済発展の始まりである。
複数の人が同じものを欲しいとなると、隣の人が貝殻3枚で買うというものを貝殻4枚で買おうとなる。
同じものであるのに価値が貝殻3枚から4枚になるのである。
貝殻4枚を準備できない人は買えないことになる。
経済が発展することに比例して、貝殻は通貨としての性格を強く持つようになり、
やがて通貨は流通しやすく壊れない銅貨に取って代わる。

経済発展が続くと欲しいものの価値が、銅貨3枚から銅貨5枚やがて銅貨10枚と進んでゆく。
欲しいものというのは基本的には自然から採取する、加工してより好ましいものにする、
これが基本だ。
A地域では温暖な気候で労働にも適した環境であったとする。
食料も多く採れ他の地域に回せる位の余裕がある。
比較して隣接地B地域では労働するについては明るい時間が短く、夜は寒いので防寒の服も必要だから、
食料も多く採取できない。
当然B地域はA地域から食料を買うことになる。通貨がA地域に集まる。
すなわちA地域では一人当たりの通貨所有量が多くなり食料がB地域よりは高く(売れるように)なる。
A地域では一人当たりの通貨所有量(=所得)が仮に100通貨、B地域では50通貨としよう。
A地域では所得がB地域の2倍あることになる。
しかし、A地域では食料は10単位、B地域では5単位。
他の商品も当然同じような価格差を生む傾向である。
人類はこのような経済発展を長年経験して歴史を築いてきた。Keizai