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東日本を訪れる5

青春18きっぷの旅 東北を巡る

やっとのことで昼過ぎに鶴岡駅前のホテルに到着。

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荷解きをした。
午後かなり遅い到着を覚悟していたのでほっと一息である。
このホテルには隣接してショッピングモールがある。
昼食を兼ねてガイドブックを求めるためにショッピングモールを訪れた。
ドアを2枚開ければそこがショッピング街である。
2階の書店でガイドブックを探す。ご当地ではそれなりのガイドブックがあるのではと思っていたが、棚には全国どこで見るのも同じ東北全体で1冊のガイドブックが置かれている。
これでは鶴岡の詳しいことも判らない、結局鶴岡のガイドブックは断念し昼食をとることに。
ショッピングモールとあって食事どころも数軒あるが帯に短したすきに長しで、結局ラーメン店に入ってしまった。
それもなぜか名前が「よこはまラーメン」

鶴岡は藤沢周平の故郷
著名な「海坂藩」の舞台である。
鶴岡駅の観光案内所ではレンタサイクルが置いてある。(無料です!)
市内観光地図を片目に鶴岡公園を目指す。
8月夏真っ盛りとはいえ東北は気温が32~3度だろうか、気分よく自転車で風を切って走る。
レンタサイクルと一緒に貰った案内書に自転車を保守してくれる自転車店が掲載されていたので、
途中「佐藤自転車店」で空気を補給した。
ほどなく鶴岡公園に到着、目指していた「藤沢周平記念館」に入った。

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実家は農家で、藤沢自身も幼少期から家の手伝いを通して農作業に関わり、この経験から後年農村を舞台にした小説や農業をめぐる随筆を多く発表することになる。郷里庄内と並んで農は、作家藤沢周平を考えるうえで欠くことのできない要素である。
山形師範学校を卒業後、山形県西田川郡湯田川村立湯田川中学校(鶴岡市湯田川、現在は鶴岡市立鶴岡第四中学校へ統合)へ赴任し、国語と社会を担当。1951年、年3月の集団検診で肺結核が発見され、休職を余儀なくされる。
1952年2月、東京都北多摩郡東村山町(現在の東村山市)の篠田病院に入院し、保生園病院において右肺上葉切除の大手術を受けた。予後は順調で、篠田病院内の句会に参加し、俳誌『海坂』に投稿をおこなうようになる。北邨という俳号を用いた。またこの時期に大いに読書に励み、ことに海外小説に親しみ、作家生活の素地を完成させた。
1957年、退院準備に入るものの思わしい就職先が見つからず、郷里で教員生活を送ることを断念。練馬区貫井町に下宿して業界新聞に勤めはじめるも、倒産などが相次ぎ数紙を転々とする
-Wikipediaより-

藤沢周平最初の読破は「蝉しぐれ」であったかと思う。
いきがっていた若い頃に「白き瓶」に挑戦し敗れた。
そしてのめりこんだのはやはり「山田洋次 時代劇三部作」それも「たそがれ清兵衛」の影響であった。
本日の展示は「義民が駆ける」の特集で実際の庄内藩の当時の資料が展示されたいた。

> 江戸時代の天保期に荘内藩・酒井家に長岡藩への転封の命が下された。
> 藩財政に苦しむ川越藩・松平家が、前将軍の徳川家斉に転封を願いで
> たことが発端の「三方国替え」で、理由の無い沙汰に、藩・領民は驚き、
> 様々な画作を凝らして激しく抵抗する。
> 結果、奇跡的に幕命は覆り、転封は取り止めとなった。

山形県在住当時の写真が多くを締め、土地の人にいかに愛されているかという思いをひとしおにした。
この館の設立は2010年と新しい。展示品から学芸員の力も大いに訴えかけてくる。
静かなときが流れほぼ全著作の背表紙を眺めながらまた再読の思いを強くする。

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同じく鶴岡といえば月山、「月山」といえば森敦(山形県朝日村の名誉村民:現鶴岡市名誉市民)である。
その冒頭部分の文章はそのまま新井満によって組曲「月山」としてレコードになった。
「ながくながく庄内平野を転々としながらも、わたしは(その裏ともいうべき)肘折りの渓谷に分け入るまで、月山がなぜ月の山と呼ばれるかを知りませんでした。
そのときは、おりからの豪雪で、危うく行き倒れになるところを助けられ、からくも目ざす渓谷に辿りついたのですが、彼方に白く輝くまどかな山があり、この世ならぬ月の出を目のあたりにしたようで、かえってこれがあの月山だとは気さえつかずにいたのです」
優雅なメロディーに載せて「月山」が今も脳裏に流れる。

宿の大浴場からその月山が見えた。

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