紙つぶて 細く永く

2014年6月以前の記事は旧Blog(OCN)からinportしたものそのままです。鋭意改善中です。<(_ _)>

Paradox「東京大学:原子力国際専攻の目指すもの」

 21世紀に入り、人類の歴史は、新たな局面を迎え、これまでのような
「科学技術を基盤とした物質的な豊かさの追求」から、「地球環境と調和した持続可能な社会の構築」
へと、パラダイム転換が起きています。
 この中にあって、人々の豊かな暮らしを支える経済活動と、地球温暖化をはじめとする地球環境問題
への対応の両立という、多くの要素が絡み合った複雑な問題が生じています。さらに、グローバル化
る国際社会の中では、他国の状況や政策がわが国の経済活動や環境政策にも影響を及ぼすでしょう。
人類は、現状のバランスを保ちながらも着実に正しい方向へ歩んでゆかねばなりません。
 私たちは、科学的知見に基づく最も現実的なソリューションとして、「原子力エネルギーシステム」
の研究を進めています。しかも、それは単にエネルギーを生み出すだけの「原子力」を意味しません。
21世紀の人類社会のあり方に適合した「原子力安全・エネルギー」です。新しい時代の「工学」に求め
られる重要なキーワードに「安全」があることはいうまでもありません。私たちは、既存の原子炉を
システム工学の視点により、「安全」な原子力システムへと再構築します。また、先進原子力システム
の構築に向けては、システム統合、システム保全などのシステム的取り組みが必要です。
それらをベースに、革新的原子力システムの開発へと展開してゆきます。
 さらに、工学的に「安全」なだけでは不十分です。それを一般社会の人々が実感として理解すること、
すなわち「安心」なシステムでなければなりません。そのためには、技術的側面だけではなく、
原子力と人・社会」との関係、すなわち人文社会学的な研究が必要です。私たちは、
原子力国際専攻創立以来、「原子力社会工学」の創成およびその深化に努めてきました。
そこでは、法工学、工学倫理といった問題から国内の科学技術政策の課題も扱います。
さらに、国際保障措置や核不拡散など国際的な課題も重要なテーマと考えています。
これはまったく新しいチャレンジなのです。
 一方、原子力工学で生まれ育った放射線やビームを扱う技術が新しい姿で社会に貢献しています。
放射線を利用した製品生産が我々の生活を支え、その経済規模もエネルギー利用に匹敵するほどに
なっているほか、新材料開発研究や安全検査から考古学に至る広い範囲で放射線・ビームが利用され
ています。そうした中、私たちが推進しているのが、「医学物理」の教育・研究です。
放射線やビームを利用した診断や治療は、これまでの医療の概念を覆すまったく新しい医療であり、
従来の「医学」の知に、放射線やビームの「理工学」の知を融合させなければ発展させることができま
せん。
このような先進医療の発展をリードする人材の育成を含め、「放射線と先端科学」を原子力国際専攻の
第三の重点分野として捉えています。
 こうした、文理の学際複合領域である原子力の特徴を世界に先駆けて取り入れた「世界を先導する
原子力教育研究イニシアチブ」は、2007年度にグローバルCOE(Center of Excellence)に採択され、
原子力国際専攻はその中核を担っております。特にカリフォルニア大学バークレー校には拠点オフィス
を設置しているほか、フランスのEcole des Minesからも継続的に大学院生を受け入れるプログラムを
開始しており、イギリスのImperial Collegeとも共同でサマースクールの開催などを行う予定です。
 世界中から優秀な人材や知識が集まることにより、原子力新世紀に対応した世界をリードする人材の
育成が促進されます。これにより本専攻では、将来国際舞台で活躍できる人材の輩出を目指しています。
 若い活力にあふれた皆さんが活躍できる場を提供します。是非、皆さんと一緒に活動したいと、
専攻スタッフ全員が皆さんの進学を期待しております。